6月議会 北川の一般質問報告・実答弁

県議会の記録

R3 624 一般質問

一般質問の議論に対しての所管は、機関紙にまとめることにして、ここでは、質問に対しての実答弁を掲げておきたいと思います。


問一  教員確保について

 1 福井大学との連携の在り方と今後の教員採用における方針・方向性への認識はどうか。

答(教育長)
教員の採用については、公正公平を第一として質の高い優秀な教員の確保を目指している中、近年の教員志望者数の減少は大きな課題と認識している。
福井大学教育学部においても、教員免許を取得せず、民間へ流れてしまう学生が一定数いることから、まずは免許を取得して、教員を目指す学生を増やしてもらえるよう大学側に要請しているところである。
本県では、教育に対する情熱・使命感に燃え、常に学び続ける向上心を持った人材を求めており、若い感性で子どもの心をつかみ、ICT等新しい技術も活用しながら、引き出す教育、楽しむ教育を進めていただける、活力に満ちた人材を採用していきたいと考えている。

2 客観的な勤務時間の把握の現状と運用面についての市町や管理職への指導等に関する県教委の対応と、把握している個別の事由についての所見を伺う。

答(教育長)
タイムカード等による客観的な勤務時間の把握については、全県立学校と11市町の小中学校で実施している。残りのうち、2市は今年度と来年度の導入が決定しており、4市町には早急な整備を求めている。
出退勤時刻の正確な記録については、市町教育長会議において常々注意を促すとともに、小中学校の鍵の管理を徹底するようお願いしている。
昨年は、コロナ対応により、消毒作業や検温などの業務に加え、学校の行事全般を見直すための時間が増えた。今年度は、長時間勤務者に対して、予防的面談や学校行事の精選、下校時刻の繰り上げなど、先生の日々のゆとりを確保する効果的な取組みを、市町教育長会議で紹介し合うなど、全ての市町で共有しながら、教員の働き方改革を進めていく。

 3 少なくとも10年スパンの「教員確保計画」を策定し、見通しをもった採用を行っていく必要性があると考えるが、現状と今後の取組みについて、所見を伺う。

答(教育長)
現在の状況については、少子化による児童生徒数の減少、小中学校の統廃合、高校再編等により、教員定数はこの先徐々に減少していく見込みである。
県教委としては、これまでも定年延長制度の影響などを踏まえた長期的な見通し、大体10年先まで常に見通しながらやっておりますが、教員採用数を決定してきました。今後も、退職者数、再任用者数などを考慮しながら、計画的に毎年の教員採用数を決定していきます。
本県において優秀な教員を採用するためにも、教員志望者の確保が優先課題と考えており、現在、その一環として、教員のやりがいや魅力を発信するPR動画を制作しているところである。


問二  医療的ケア児の支援について

 1 本県の医療的ケア児の通学の現状を伺うとともに、今後どのように改善がなされていくのか、所見を伺う。

答(教育長)
現在、医療的ケアが必要な特別支援学校の通学生は、38人在籍しております。うち人工呼吸器の使用や痰の吸引が頻繁に必要な重度の医療的ケア児は20人おります。そういった全体で38人在籍しているわけですが、うちスクールバス利用者は9人、保護者送迎は29人であります。また、小・中学校の対象児童生徒は3人おりまして、集団登校が1人、保護者送迎が2人でございます。
通学手段につきましては、送迎の際、担当教員と当日の体調管理に関する情報共有ができる等の利点から保護者が自ら送迎を希望するケースが多いと聞いている。
先程議員から、介護タクシーの利用といった大阪府の話もございましたが今後、保護者から送迎の負担軽減等の要望があった場合は、個別に検討し対応していきたいと考えている。

 2 国や県の支援の方向性に反して、保護者の同伴を求めるローカルルールを設定している保育園や学校はないのか伺う。

答(教育長)
医療的ケア児が在籍する11校、特別支援学校8校、小・中学校が3校でございますが、その11校では必要な医療的ケアを行えるように、合計16人の看護師が配置されています。
また、医療的ケア児が入所している保育園等9園では、合計12人の看護師を配置しています。
県内では、一部の行事、たとえば体育大会とか遠足などにおいて、看護師配置のもとで、保護者も付添いするケースはありますが、学校や園生活全般にわたって付添いを求めるようなローカルルールを設定している学校等はありません。

 3 医療的ケア児の受け入れに必要な看護師確保について、学校や園の負担軽減のための支援をすべき。

答(知 事)
県内におきます学校それから保育所等における看護師の配置状況については、特別支援学校は県、それから小・中学校は市町となりますけども、学校の関係につきましては、両者が必要な人員を確保している状況です。保育所等についても、国庫補助等をうけて、すべての園につきまして必要な人員が確保されているという状況です。ただ、今議員からもご指摘ありましたとおり、医療的ケア児は増えていく、そういう傾向にございますので、今後ともそういったところは注視していきたいと考えています。
それから、医療的ケアを担うためには専門的な知識・技術が必要なわけで、令和元年度から本県におきましては、在宅医療を担う医師、それから看護師に対しまして、この医療的ケア児に対する専門的な研修を行わせていただいており、現在までに101名の養成を行わせていただいた。
今後とも、医師会それから看護協会、ご協力もいただきながら、県内に130名の医療的ケア児がいる状況で、その少なくとも2倍程度、2倍以上そういった看護師等の方を養成しておく必要があるということだと考えている。
そういった目標に向けてこれからも努力をしていく。
さらに、学校や保育所で安定的に看護師を確保する、そういう意味では待遇、そういったものを維持していくことは大事だと、一定水準を確保することは大事だと思っているので、そういった点についても、状況を注視していきたいと考えている。

 4 レスパイトの場や回数の状況および実施している対策、今後の改善方針について伺う。

答(健康福祉部長)
医療的ケア児のレスパイトの受け入れは、ちょうど2年前、令和元年の時点で、県内4病院で7床の受け入れでしたけれども、機会をとらえてレスパイトの実施を働きかけてまいりました結果、令和3年6月現在は、6病院で19床の受け入れが可能となっています。
また、障がい児入所施設につきましては、平成27年度から医療的ケア児のレスパイトの受け入れのために看護師配置に対して支援を行っておりますが、これをうけまして、事業を開始した時点では3施設5床であったわけですが、現在では8施設20床のレスパイトの受け入れが実現しています。
現状では大きな待機等の問題を生じている状況ではないと思っておりますけれども、医療の進歩によりまして医療的ケア児が増加することが予測されておりますので、事業のさらなる周知によりまして、レスパイトを増やして保護者の負担軽減をはかってまいりたいと考えています。

 更問  医療的ケア児支援法が求める「医療的ケア支援センター」の設置、各市町機関との関係構築について、現時点での方向性を伺う。

答(健康福祉部長)
医療的ケア児支援法は2週間前、6月11日に成立しまして、18日に官報登載されて交付されたという法律でございます。議員立法であったこともありまして、施行通知はすでに届いているのですが、詳細な運用に関する通知は、まだ国の方から出ていないという状況にあります。
医療的ケア児支援法の中で、都道府県は「医療的ケア児支援センター」を設置することができると、という条項がございます。これを受けて、今、国の方で都道府県がどういう業務をこのセンターで行うべきかとかですね、そういったことを、詳細を詰めまして、9月の法施行日までに都道府県に通知するといった情報がございますので、このセンターの業務内容の詳細の通知を受けまして、県として、設置についての検討を進めていきたいと、そんなように考えております。

 更問  医療的ケア児、こうやって特別支援学校やそういう機関を受けられるのは、18歳まで。一番親御さんとして心にあるのは、親亡き後、19歳過ぎにどういった生活をおくっていくのだろうか、その部分であるのは間違いありません。ぜひその部分も一括して、教育、福祉そして産労、この三つが合わさって、しっかりした形を作っていっていただきたい。それが形になっていくことを願っています。全ての子どもは等しく市民生活を保障され、愛護されなければならない。そういう面ではどの子も一緒だと思います。ぜひご配慮くださるようお願いします。


問三  サイバー犯罪への対応について
 1 テレワークが進んでいるなか、サイバー犯罪に備えた情報セキュリティ対策をどのように進めていくのか、知事の所見を伺う。

答(知 事)
福井県におきましては、サイバー犯罪から情報を守るという観点に立ちまして、市や町と共同いたしましてまず大きく市や町、県のシステムをセキュリティークラウド、これを配備して運用することで守っています。その上で、県の中のシステムの中に、それぞれまたファイアウォールを多層的に配備することで、こうしたサイバー犯罪に備えているということになります。
またテレワークのときに、自宅のパソコンで会社のパソコンを使うということになるんですけれども、これも現実には、そのサーバーに直接アクセスするのではなくて、県庁のサーバーの中にあるその画面を転送する仕組みをとっておりまして、外部からそのコンピューターウイルスが入り込む、そういうことができないようにしているということですし、また結果として、自宅にデータを持っていくということもできない、そういう仕組みになっているわけです。
このように福井県におきましては、国が定めております情報セキュリティポリシー、これの自治体が守るべきガイドラインその水準以上の行為を行っているということで、今後とも、引き続き万全を期していきたいと考えています。

 2 現時点の県内の重大なサイバー犯罪の被害状況を伺うとともに、サイバー犯罪に対しての対応方針、特に、行政機関の個人情報保護、医療機関の命に関わる機能の安定確保、本県の原子力発電等の安全確保、その他の医療機関やライフラインの安定と安全の面から警察本部長に所見を伺う。

答(警察本部長)
県内のサイバー犯罪の検挙件数は、平成29年から令和元年まで年平均40件であったが、昨年は約2倍の74件に増加し、本年5月末現在では24件で、前年同期比プラス5件となっている。なお、県内でもこれまでに、事業者のソフトウェアの脆弱性を突いた攻撃が発生していると承知している。
県警察では、サイバー犯罪対策として、捜査はもとより、その手口・組織の実態解明を推進するほか、被害を防止するため、商工会議所やサイバー防犯ボランティア等と連携した広報啓発活動を進めている。
また、行政機関、医療機関、原子力発電所等に対するサイバー攻撃対策として、これらを含む30の重要インフラ事業者と「福井県サイバーテロ対策協議会」を立ち上げ、最新の手口の情報提供、被害防止のための指導・助言等を行うほか、実戦的な対処訓練を共同で行っている。今後も危機意識の高揚や対処能力の向上に努めていく。

 3 犯罪集団の能力が格段に進んでいく中で、警察としても、それ以上の特殊技能をもった職員の確保が求められるわけですが、その確保と育成についての方向性を伺う。

答(警察本部長)
県警察では、「サイバー空間の脅威への対処に係る人材育成計画」を策定し、知識・技能のレベルごとに育成数の目標等を定め、計画的な人材育成を推進している。また、サイバー犯罪等への対処に関する知識・技能を身につけるための検定を実施し、県警察全体の知識・技能の底上げを進めている。
さらに、サイバー犯罪捜査に従事する職員を、最新の情報通信技術を取り入れている民間事業者による研修に参加させたり、警察大学校や管区警察学校における専門的な教養に参加させたりして、より高度な技術的知見を修得させている。
このほか、県警察と管区警察局情報通信部との間で人事交流を行ったり、サイバー犯罪捜査について高度な知見を有する他の都道府県警察に職員を出向させるなどして、組織的な職員の確保・育成を進めている。