2022年1月

12月 代表質問 まとめ

県議会の記録

R3 12月22日

12月定例会 民主・みらい 代表質問を終えて
機関紙との調整のため、遅くなってしまいましたが、代表質問の全容を掲載します。

1 知事の政治姿勢について

(1) 当初予算編成方針について

令和4年度当初予算の編成では、方針が示されました。今回の予算では、県内においては、いまだコロナ禍の影響に苦しむ人たちは少なくありません。その支援を継続・強化する中で、DX推進や新幹線開業に向けたまちづくり、子育て環境整備など長期ビジョンに掲げた政策について予算を重点配分するという難しさがあります。

⓵ 厳しい財政状況が予想される中、今回の当初予算編成にあたり、長期ビジョンの推進とコロナ対策のバランスをどのように考え、特にどういった政策に重点を置くのか

【知事】
北陸新幹線の福井・敦賀開業の前年度ということになる。まずは、まちづくりの加速を図っていかなければいけないと思っている。また全国のモデルとなるような子ども・子育て支援対策にも力を入れていく、また、ポストコロナに向けてDXの推進ということにも重点的に取り組んでいく必要がある。

(2)新型コロナウイルス感染症対策について

新たなオミクロン株も確認されており、感染再拡大の兆候を示している国もある中、国内においても、経済活動の活発化により懸念される第6波への備えは不可欠です。
本県のコロナ対策は、感染経路の特定を重視した積極的なPCR検査、臨時医療施設の設置など、「福井モデル」として、国が動くのを待たずに行政と医療関係者が連携した対応が全国的にも評価されていますが、国が求める第6波に向けた医療体制の整備のためには、医師や看護師といった医療人材の確保、さらには保健所の体制の強化等が必要となってきます。

⓶ 第6波に向けた国の感染症対策の決定を踏まえ、本県における医療体制や検査体制等の整備方針とその実現のための医療人材の確保に対する支援や保健所体制の強化をどのように進めていくのか。

【知事】
医療提供体制につきましては、これまでの最大の入院、それから療養の患者数が323人であったということに対して、741床を確保する。検査体制についても、これまでの1日の最大の6倍ができる8,500の件数の確保ができている。
また、遺伝子の解析につきましても、新しい変異株が出てきても、それに対応できる体制も整備をしている。

先月8日、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、感染状況を評価する新たなレベル分類の考え方を示し、今後、国はこの基準により、特措法に基づく緊急事態宣言の発出等を判断するとしていますが、国のレベル分類では具体的な数値基準が示されていません。そのため、今回の県独自の指標見直しの妥当性、そして県のレベル判断と国の特措法措置の判断との関係があいまいです。

⓷ 国の「新たなレベル分類」に対する評価を伺うとともに、今後、県独自の数値指標を見直すことも考えられるのか。

【知事】
我々の県独自の緊急事態宣言と合わせることで、大体、1週間の感染者数、それから病床利用率、こういったものが最終的に県内の医療が逼迫しないような状況に抑えられるように定めている。そういう意味では、今回、国の考え方にも沿って、合わせていると考えており、レベル3と福井県独自の緊急事態宣言を合わせることで、国のまん延防止等重点措置やとか国の緊急事態宣言、になる前の段階で、県の緊急事態宣言を発出することで抑えていくというこれまでの方針にも合っている。

(3)ウィズコロナ下での経済対策について

国は、観光業者等が期待する「GoToトラベル」について、来年1月下旬の再開を検討しているようであり、それまでは、都道府県が独自で実施している旅行割引等への補助を拡充するとしています。
こういった措置を受け、県は、今定例会に上程している12月補正予算において、県民の県内旅行を支援する「ふくいdeお得キャンペーン」を拡充し、近隣県からの宿泊者を割引対象に追加するとしていますが、今後、国の補正予算の国会審議を見極め、県としても更なるコロナ対策、経済対策が不可欠です。

⓸ コロナ禍で疲弊した幅広い県内中小企業等への支援策について、今後どのような方針で取り組むつもりか。

【知事】
県内の経済は、おおむね、総じて回復基調にあると考えている。そういう中で、コロナ後の成長を見越して、新分野の展開、それから業態の転換、さらには第三者への承継といったような前向きな動きも経済には出てきている。
国の今回の経済対策でも、こういった方向を後押ししていただくということで、足腰の強い企業経営に転換をしていく、または、成長の促進を促していくといったことに力を尽くしていきたい。
県としては、こうした国の経済対策の他に、県独自で、デジタル化ですとか、また生産性の向上といったことへの投資、さらにはM&Aでの事業拡大・多角化、働き方改革で副業化が進み、都市部の専門人材が活用しやすくなっている、といったことを後押しするような政策についても進めていきたい。

政府は、ウィズコロナ下での社会経済活動の再開・継続に向け、「ワクチン・検査パッケージ」を活用するとしています。
この制度については、ワクチン接種を受けられない方への公平性の確保は言うまでもなく、どれだけ感染拡大防止に寄与するのか不透明であり、入場時の証明確認の人員や経費をどうするかなど課題も多いと感じます。

⓹ 11月に開催された「ワンパークフェスティバル」における実証実験の結果を踏まえ、その課題をどのように評価しているか、今後、県内においてどのように運用していく方針か。

【知事】
ワンパークフェスティバルでは、実証実験に合わせて、来場者の方にアンケートを行っている。この中で、ワクチン・検査パッケージの導入が「安全安心なイベントにつながる」との回答が99%とほとんどで、接種済証の確認や検査を受けていただくことについて「あまり負担に感じなかった」との方が75.6%である。
ワクチンの接種歴を確認することによって行動制限を緩和するという仕組みは、感染リスクを下げながら社会経済活動を維持する手段として有効であり、制度の広報を丁寧に行っていく必要があると考えている。健康上の理由等で接種を受けられない方が、無料で検査を受けられる体制作りを進めていきたい。

(5)立地地域の振興について

今年6月に第1回目が開催された「福井県・原子力発電所の立地地域の将来像に関する共創会議」について、国は、秋に第2回会議を開催し、将来像に関する基本方針とその実現に向けた工程表の素案を示し、年内には最終案をとりまとめるとしていました。しかしながら、事務的なワーキンググループは行われているようですが、明らかにスケジュールは遅れており、将来に不安を抱えている立地地域に対し、国は真摯に向き合っているのか、その姿勢に疑問を感じているところです。
知事は、共創会議において、国や事業者に対して、嶺南Eコースト計画の実現に向けた支援にとどまることなく、計画に掲げる事業のスケールアップや、新しいプロジェクトの立ち上げを求めています。

⓺ 共創会議を開催しない国の姿勢に対する認識を伺うとともに、国や事業者に具体的にどういったプロジェクトの実施を求めるか。

【知事】
経済産業省の話によれば、他の省庁にも幅広くいろんな施策を求めているということで調整にある程度時間がかかり、開催が多少遅れているとのことである。いずれにしても、国としては、県、それから立地自治体、さらには関係者、電力事業者と丁寧に議論を重ね、ふさわしい将来像を策定していきたいとしている。県としても、日程ありきで考えるよりは、内容を充実させることが大事だと思っており、今後ともしっかりと議論を行っていきたい。

 2 原子力・エネルギー行政について 

(1)原子力防災訓練の評価について

美浜発電所3号機での重大事故を想定した原子力防災訓練が10月29日から2日間にわたって行われました。
速やかな避難と感染症対策の両立が課題となる中、今年1月に国が策定した広域避難計画の実効性も問われる訓練でした。
今回、これまで我が会派が求めてきた福祉施設の避難訓練も初めて実施されました。受入施設の避難スペースの確保状況や、トイレ、浴室、食事場所の導線を確認するとともに、避難状況下での介助のシミュレーションも行われましたが、多くの高齢者や障がいのある方が施設に避難してきた場合のスムーズな受け入れ、一定期間の避難生活が可能なスペースと介助職員の確保といった課題を感じました。

⓵ 今後の訓練においては、参加者の規模拡大と県外避難を是非とも実現するとともに、実際の福祉施設利用者の参加や避難時の生活スペースの確保など、避難状況が具体的に想定された、より実効性のある訓練にすべきと考えますが、所見を伺う。

【知事】
今回の福祉施設の受入訓練では、食事や排泄などの生活介護に必要なスペースを確認できたところである。今後は、移動による心身の負担が無い入所者の訓練参加や避難の長期化に備え、憩いや語らいの場づくりなど、環境整備についても検討していきたい。
防災対策は継続して改善していくことが重要であり、今後も、様々な訓練を組み合わせ、原子力防災のさらなる充実を図っていく。

「実現性が高いのはサイト内の乾式貯蔵」という発言について、知事はどのように受け止めているのか、所見を伺う。

【知事】
基本的に福井県におきましては、発電は引き受けましたけれども、使用済燃料については、県外で処理、処分していただくということでこれまで一貫して申し上げている。今後についてはそれを守っていきたいと思っておりますし、事業者についても使用済燃料についての県外への運び出し、計画地点の確定に向けて、今努力をしているという状況である。
今後とも国や事業者には、最大限の努力をして、一日も早く実現をしていただきたいと考えている。

(2)次に再生可能エネルギー推進のための体制強化について伺います

本年10月に策定された第6次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーについて、「2050年における主力電源として最優先の原則の下で最大限の導入に取り組む」と明記されました。
本県においても、多くの事業者が太陽光や風力発電などの開発計画を進めている中、県の役割としては、環境影響評価の適切な実施の確保など環境保全のための規制が挙げられます。
再エネを強力に推進していくためには、県が先頭に立って、事業者や地元等、多数の関係者の意見を聞き、様々な調整をした上で、地域における合意形成を図っていく必要があると考えます。

⓶ 本県においても、産業振興という観点から体制を強化し、風力発電など再生可能エネルギーを推進していく新たな組織を産業労働部等に設置して、県が関係者との調整を積極的に進めるなど事業を推進していく必要があると考えますが、知事の所見を伺う。

【知事】
再生可能エネルギーについては、地球温暖化への対応とともに、地域との共生、新しい産業の構築、といったこととも関連が大きい。現在でも全庁的に対応させていただいている。
風力発電につきましては、現在、安全環境部を中心に扱っているが、例えば、漁協への対応については農林水産部、また、港湾の利用については土木部、後は、事業者の計画については、産業労働部と情報共有するなど、全庁的に扱いをさせていただいている。
所管部署につきましては、これは全国の都道府県を見てみますと、過半数は福井県と同じように、CO2対策というようなことを主に重きを置き、環境部局が所管をしている。
とはいえ、いろんな状況の変化等もよく見ながら、必要があれば、所管部署についても、考えていく。いずれにしても、全庁的な対応を今後とも続けていきたいと考えている。

本県は、再エネ導入に特化した計画は策定しておらず、再エネの発電量についても、県全体で共有できる目標値がありません。
他県を見ると、福島県などにおいては、再エネの導入目標を設定し、毎年、目標に対する到達割合を県民に提示し、県全体で独自のエネルギーデータを管理しながら再エネ推進を図っています。
今年5月には地球温暖化対策推進法が改正され、都道府県に対して、再エネ導入の数値目標を設定することが義務付けられました。

⓷ これを機に、我が会派がこれまでも求めてきた、県内の電力消費量に対する再エネ導入率の目標を掲げる、再エネの推進に特化した新たな計画を策定すべきと考えますが、所見を伺う。

【安全環境部長】
県の長期ビジョンで掲げている2050年のカーボンニュートラルの実現に向けては、再エネの導入だけではなく、家庭や企業における省エネの推進、次世代自動車導入による運輸部門でのCO2削減、さらには森林のCO2吸収など幅広い視点で検討していく必要がある。
このため県では、来年度改定します次の環境基本計画において、広く地球温暖化対策を議論することとしている。その中で、再エネについても、推進の目標や方策を検討していく。
今年度から、再エネ導入に関する実態について調査を行うなど、準備に取り掛かっている。

3 交通体系の整備について

(1) 並行在来線各駅における二次交通の充実について

並行在来線のあり方について協議を続けてきた福井県並行在来線対策協議会は、10月の経営計画の決定をもって解散し、令和4年度の春には、利用促進策などを協議する、新たな協議会が設置される予定です。経営計画にうたわれている1日当たりの目標乗客数2万人を達成していくため、今後は、乗客を増やし、維持していく利用促進のための議論が重要となってきます。
さらなる利便性向上のため、バス路線との結節の充実についても力を入れるべきであり、駅の利用圏エリアを拡大していくためにも、駅とバスの結節を拡大し、ハブ化していくことも検討すべきだと考えます。

⓵ 並行在来線とバスとの連携を促進するため、来年度に設置される利用促進協議会へのバス運行主体者等の参画も必要であると考えますが、知事の所見を伺う。

【知事】
並行在来線につきましては、厳しい経営環境の中で、まずは利便性の向上を図るということと共に、県、それから企業、それから地域、が一体となり、例えば、通勤・通学で日頃の利用を促進する、それから観光ですとかビジネス、そういった需要も喚起していくことが重要だと考えている。
来年の春に設立する利用促進協議会については、県と沿線の市や町の他に、バスの協会やえちぜん鉄道、福井鉄道、それからJR、こういった運行主体にも参画をいただき、路線バスとかコミュバス、さらには地域鉄道、といったものが一体になって2次交通の充実を図っていく必要があると考えている。
併せて、色々な利用者団体にも参画をいただき、利用の促進、まちの賑わいづくりもしっかりと考えながら、並行在来線の経営の安定、地域の発展を目指していきたい。

並行在来線とバスとの連携強化は、並行在来線の乗降客が増加するといった側面だけでなく、自家用車の利用抑制にもつながり、CO2削減といった環境負荷の低減が期待されます。

⓶ バスと並行在来線駅の結節を強化し、利便性向上とCO2削減の効果を生み出すため、バスと鉄道の共通割引といった連携した取り組みを県が積極的に支援していくべきと考えますが、所見を伺います。

【地域戦略部長】
本県は、マイカーへの依存率が非常に高いということもあり、CO2削減や健康づくりにもつながるバスや鉄道の利用を進めて、公共交通機関の維持・活性化を図っていくことが非常に重要である。
並行在来線においては、経営計画におきまして、通勤・通学時間帯の増便、さらには、パターンダイヤ化をを計画しており、それにより、並行在来線の各駅において、既存の路線バスとかコミバス、こういったバスとのスムーズな乗換えが可能となるよう、バス事業者と調整を図っていく。
さらに、新幹線開業に向けて、提案いただいた鉄道とバスとの連携による共通フリー切符等の発行につきましても検討を進めていく。引き続き、交通事業者や市町と協議を行い、利用者ニーズを踏まえた事業者間の連携が進むよう、支援のあり方について検討していく。

4 福祉行政について

(1)児童相談所の体制強化について

全国的に児童虐待は年々増加しており、その問題は深刻化しているように感じられます。本県においては、昨年度の虐待件数が1,113件であり、これは10年前と比較して約6倍に増加しています。子どもを虐待から守り、さまざまな環境で育つ子どもの健やかな成長を確保するため、児童相談所のより一層の体制強化、機能強化が求められています。
本県では、虐待対応を強化していますが、子どもや家庭の問題が複雑・多様化している中で、虐待件数は激増し問題が深刻化するといった事例も見られます。本県においては、児童虐待による痛ましい事件が起きないよう、引き続き児童相談所の機能強化を進めていく必要があると考えます。

⓵ これまで取り組まれてきた児童相談所の強化策について、その成果と課題を伺うとともに、激増する虐待事案に迅速に対応するため、人員増加を踏まえた担当課の増設など更なる組織体制の強化を検討すべきと考えますが、所見を伺います。

【健康福祉部長】
児童相談所では、虐待事案の増加傾向を受けまして、これまで計画的に職員の増員を行っている。これに加え、昨年度からは警察官を配置し、警察との連携を一層強化しているほか、教員と保健師を配置して、教育現場それから医療との連携強化も図っている。こうした体制の強化が虐待の早期通告とか発見につながっており、問題が重篤化して継続的な保護者のカウンセリング等が必要とされるケースの割合が、平成30年度には55.2%であったものが、令和2年度には17.5%と一気に下がっており、かなり効果があると考えている。
一方で、近年の増員によりまして若手の職員が増えているがひとつ課題であり、相談対応能力の向上も図っていく。
今後も状況に合わせました増員、課の増設を含めた組織体制の強化をというものも検討する必要があると考えており、来年度は、前段階として地区別のチームを編成するなど、効果的・効率的な組織運営というものを行っていきたい。

(2) 生活困窮者への支援について

11月に閣議決定された本年度の自殺対策白書によると、女性や子どもの自殺の増加が明らかになっていますが、特に増加が顕著な女性については、その要因として、コロナ禍による経済情勢の悪化により、非正規労働者の多い女性が影響を受けたとものと考えられています。働く女性に対する相談窓口の充実など、きめ細やかな対応が必要です。

⓶ 女性の就業率が高い本県において、自立支援機関への相談等を踏まえ、コロナ禍における働く女性の生活困窮の実態をどう認識しているか、県としての支援策をどのように考えるか。

【健康福祉部長】
生活困窮者の支援を行っている自立相談支援機関の相談件数は、本県で2.4倍という状況である。また、女性の方の相談に限定すると、前年度比で2.2倍という状況である。相談の内容としては、コロナの影響による休業とか解雇に伴う収入減の相談が増えており、特に自営業とか接客業の方が目立っている。
生活困窮者のみなさんに対しては、生活福祉資金の特例貸付、それから住居確保給付金などの支援を講じているほか、不安や悩みを抱えた女性が集うことができるピアサポートサロンというものも開催している。
こうした支援内容がまず生活困窮者の方に確実に伝わるということが大事であり、先月、新たに支援制度とか身近な相談窓口等を案内するチラシも作成し、県下全域に配布をしている。今後、国の方でも、新たな給付金、住民税の非課税世帯への臨時特別給付金でございますとか子育て世帯への特別給付金なども予定されているので、こういった情報も含めて、引き続き新聞なども活用しまして、相談窓口、支援制度の更なる広報、周知に努めていきたい。

5 産業行政について

(1)高速交通網を見据えた企業誘致について

中京圏との交通アクセスが格段に良くなる機に、特に中京圏の企業の本県への進出が大いに期待され、その絶好のタイミングを逃すことはできません。
県は今年度、20 年ぶりに企業誘致を促進するための支援制度をリニューアルして他県に負けない優遇制度を用意し、更には新たに名古屋事務所を開設するなど、進出企業を待つのではなく、攻めの体制で企業を誘致していく覚悟が感じられます。

⓵ 新たな優遇制度に対する企業の反応や名古屋事務所の設置による機能強化を踏まえ、今後、中京圏での企業誘致をどのような戦略を持って進めていく方針か。

【知事】
名古屋事務所の開設を記念して、先月、名古屋市において企業立地・港セミナーを開催させていただいた。新しい優遇制度や交通ネットワークが良くなるといったことをトップセールスで、しっかりとアピールをさせていただいた。手ごたえも非常にあったと感じている。
引き続き、名古屋事務所を拠点として、BCPの観点、アクセスが非常に良くなる、それから優遇制度といったことを戦略的にアピールし、中京の強みである自動車ですとか、航空、宇宙、さらには物流の拠点といった産業を中心に、稼げる企業、こういったものを中心に誘致をしていきたい。

東京一極集中の是正が叫ばれて久しいですが、コロナ禍において、その必要性が高まっており、経営の意思決定や管理、研究開発等といった本社機能を東京から地方へ移転する企業が注目されています。
国は、本年度から、本社機能を地方に移転する企業の法人税を減税する地方拠点強化税制を導入して、企業の地方移転を後押ししており、本県もこういった優遇措置を活かして、企業の本社機能の誘致に力を入れるべきであります。コロナ禍で若者の地元志向が高まる中、こういった本社機能の本県への移転は、優秀な研究者等のUIターン就労の促進につながることも期待されます。

⓶ 県内への本社機能の移転とUIターン就労の促進という視点による企業誘致の取り組みとその成果を伺います。

【産業労働部長】
県としては、国の地方拠点強化税制ですとか県の企業誘致補助金を活用し、これまでに研究開発拠点など16社の本社機能を誘致した。研究者やIT人材などUIターン者を雇用する企業を手厚く支援する制度、補助金の上乗せ等により、若者が福井県で働きたくなるような魅力的な企業の誘致を進めている。
その結果、昨年度、企業誘致によって生まれました新規雇用数456名のうち、約24%にあたります108名のUIターン者雇用が実現している。今年度も、新設しましたオフィス誘致の支援制度により、首都圏IT企業の進出が複数決定しており、UIターン者の雇用に繋がっている。
引き続き、本社機能の移転など、UIターン者の就労につながる魅力的な企業の誘致を進めていきたい。

6 土木行政について

(1)除雪体制の強化について

気象庁は先月10日、異常気象の原因の一つ「ラニーニャ現象」の発生確率が高まっていると発表しました。県内が記録的な大雪となった平成30年2月、そして本年1月にも同じ現象が発生したことを踏まえると、この冬も大雪への万全な備えが必要であります。
本年1月の大雪で起きた北陸自動車道の大規模な車両滞留についての反省を踏まえて国や県、NEXCO等で構成される冬期道路情報連絡室は、大雪の際に迅速かつ的確な判断を行うための行動計画・タイムラインをとりまとめ、先月11日には、それに基づく訓練も実施されました。

⓵ こういった訓練を踏まえ、県として、大雪時の大規模車両滞留を防ぐための課題、災害を防ぐために県民に周知・徹底すべき事項をどう認識しているか。

【土木部長】
大雪時には、効率的な除雪を行うため、交通量を減らすことが重要であり、県民に対し、テレビ・ラジオのほか、HPやSNS、防災アプリなど多様な手段を活用して、外出を控えていただくことや、冬用タイヤを装着した車に乗り、スコップを携行することなどを呼びかけていくこととしている。
また、今年度から、県のHP「みち情報ネットふくい」にいて、県内の主要幹線道路の路面状況や降雪状況をリアルタイムに情報提供しており、外出の判断や渋滞回避などに活用していただきたいと考えている。
さらに、中京圏・近畿圏も含めた経済団体等に対しては、関係機関が連携して、通行止めの可能性のある区間や時間帯を早くから繰り返して情報提供することにより、運行計画の見直しや広域迂回を呼びかけていく。
この冬に向けて、大規模な車両滞留を防ぐとともに、県民の日常生活・経済活動への影響を最小化するよう、引き続き関係機関がより一層連携して大雪に備えていきたい。

⓶ 北陸自動車道や国道8号の予防的通行止めを行うためには、路面状況や予想される降雪量等に関する客観的な判断基準が不可欠であると考えますが、所見を伺います。

【土木部長】
国や高速道路会社では、降雪が12時間に一定以上、嶺北北部では35cm、奥越で45cm、嶺北南部で40cm、嶺南地方で35cm以上予想される場合に、北陸道などの予防的通行止めについて検討を始め、国と気象台が発表する大雪に関する緊急発表に合わせ、予防的通行止めの可能性についてお知らせする。
その上で、実際の予防的通行止めの実施にあたっては、県も含めた関係機関で通行止めの区間や迂回路等の調整を行ったうえで、最終的には道路管理者が、路面状況、除雪状況、交通状況、降雪予測等から総合的に判断することとなる。

(2)住宅・宅地マスタープランについて

令和元年度に発表された、総務省の空き家に関する調査によると、総住宅数に占める全国の空き家率は13.6%、本県においては13.8%に上っており、人口減少の加速とともに、今後、空き家の数は急速に増えていくことが予想されます。
今定例会では、2030年までの10年間の住宅政策の指針となる、住宅・宅地マスタープランの素案が提示されています。
現在、空き家の利活用の促進については、県と市町が連携し、空き家リフォームの補助や相談サポートの充実強化、空き家情報バンクの運営等を行っていますが、これまでの取組では追い付かず、特に郊外では、活用見込のない空き家ばかりが増えていく恐れがあります。結局は何年も放置されて朽ち果ててしまい、景観の悪化、さらには治安の悪化を招くといった社会問題となる可能性も懸念されます。

⓷ 住宅・宅地マスタープランを改定するに当たり、特に問題となる郊外型の空き家のデータベースの充実や、全国的な不動産業者のネットワークを生かした情報発信、希望者とのマッチングシステムの構築など、官民連携による利活用策を盛り込む必要があると考えますが、所見を伺います。

【土木部長】
空き家の利活用を進めるための官民連携の取組みとして、これまで空き家バンクの掲載物件の掘り起こしや、相談会の開催、全国の空き家情報をまとめている不動産業者への情報サイトへの掲載などを行っている。
市場性が低い郊外部につきましては、自治会が主体となって空き家を把握し、直接移住希望者に情報提供を行う事例や、NPOなどと連携してマッチングを行うなどの事例が出てきている。
県としては、こうした取組みを参考に、官民連携による空き家の利活用が全県的に進むよう、地域ごとの課題を整理し、どのような仕組みづくりが効果的か市町や住宅政策懇話会の意見も聞きながらマスタープランへ反映していきたいと考えている。

7 教育行政について

(1)嶺南地域における教員の確保について

福井大学は、嶺南地域における教員の確保を目指し、令和4年度の入試において、大学入学共通テストを課さない嶺南地域枠を新設して10人を募集するとしています。これに併せて、嶺南の教育や文化に関する理解を深めるため、県・嶺南市町の各教育委員会と連携した大学独自の「嶺南教育プログラム」が導入されます。嶺南出身の教員が少ない中、地域密着による教員養成の実現により、嶺南への愛着と教員としての資質が高められ、嶺南地域で教員になることを強く希望する優秀な人材の確保が期待されます。
4年間のこのプログラム科目を習得した学生には、今後、嶺南地域の教育のリーダーとして貢献していただく必要がありますが、優秀な人材を確保し、地域に根差した教育を円滑に進めるためには、県教委が実施する教員採用試験との連携が必要となります。

⓵ 県教委は、教員採用試験における嶺南枠の新設を、福井大学の嶺南地域枠導入に合わせて検討するとしていますが、福井大学の教育プログラムとの連携など具体的にどのようなスキームが考えられるのか、所見を伺います。

【教育長】
教員の配置については、平成30年度末の異動から、嶺南出身の新規採用者を極力嶺南に配置する取組みを始めている。また、教員採用試験制度の見直しにより、他県での現職教員が出身の嶺南に戻ってきている例がある。こうしたことにより、嶺南の小中学校では、嶺南出身者の占める割合が年々増加し、今年度は約4分の3を占めている。
福井大学の「嶺南地域教育プログラム」を履修した新規採用者については、令和8年頃になると思うが、学びの成果を十分発揮できるよう積極的に嶺南へ配置していきたい。
教員採用試験は、公正公平を第一として実施しており、また、全県的な教育力向上のため広域的な人事交流を進めていることから、特定の地域にのみ採用枠を設けることについては、慎重に判断していく必要がある。