2010年1月

あしあと 池田稔泰先生に

雑感

 1月16日(土)の夕刻、ある方が生涯を閉じました。その方の名は池田稔泰、前中央小学校の校長です。
 私が先生と出会ったのは、平成16年4月、中央小学校に赴任した時です。教頭職としてのスタートの時であり、中学校での勤務が長く、教務主任の経験もない私にとって、全ての面で不安一杯のスタートでした。3月末日に中央小に出向き、案内されて入った校長室におられたのが難しそうな顔をした池田先生でした。
 「教頭としての実務、事務的なことは何も知りません。ただ精一杯やります。」としか口にできなかった私に、「仕事なんちゅうものは、いつかできるようになる。思い通りにやればいい。」と静かにおっしゃいました。それまで、一度も会話したこともない方ではありましたが、その言葉の柔らかさに、スッと肩の力が抜けていくのを感じたものです。
 「出会いは学び」という言葉を座右の名とし、常に出会いを求め、学びを求める先生から学んだことは、挙げるに余りあります。特に、授業に関しての視点と指導は、これまで私が出逢ってきた誰よりも鋭く具体的なものでした。
 退職以降、園長として「やまびこ園」の運営に携わってこられました。また、近年は、病気と綱引きをしながら東奔西走され、社会福祉の分野で大きな足跡を残されました。
 入院中も自宅療養の間も日々の生活の中で気に留めたものを絵手紙にしておられました。昨年末に伺った折に、「見てくれ。」と差し出されたスケッチブックの絵と言葉が、痛みと息苦しさの中で描かれたとは思えない程明るく前向きなものであったことがとても印象に残っています。
 その時、息苦しさをこらえながらも、精一杯の表情で発せられた「頑張るわ。」という声が今も忘れられません。
 命には限りがあります。運命づけられたその時に、私たちは何のために何を残していくことが大切なのか……。そのヒントを自らの生き方で教えて下さったような気がします。

『あたたかな朝』生徒の皆さんへ

子どもたちへ

あたたかな朝を感謝したい。
 まず、あたたかな食事に感謝したい。
 誰なのだろう? 私のために朝早くあたたかな食事を用意してくれるのは…。
あたたかな挨拶に感謝したい。
 誰なんだろう? 寒い中を朝早くから挨拶運動に立ち、元気な挨拶と笑顔で
  迎えてくれるのは…。
あたたかな朝の教室に感謝したい。
 誰なんだろう? 朝一番にストーブに火を入れてくれるのは…。

…あたたかな朝を迎えるのは、当たり前??
            …そんな鈍感じゃないよね、我々は…。