2010年12月3日
『自分の感受性くらい』茨木 のり子
ぱさぱさに乾いてゆく心を ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて気難しくなってきたのを 友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを 近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを 暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を 時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ ばかものよ
12月になり、気づかないうちに慌ただしさが自分に染みこんできているのを感じる頃になると、決まって思い出されるのがこの詩です。
誰もが一度は眼にしたことのある詩ですが、「乾いた心」とは? 「人の心が生きるために 必要な水」とは?
読む度に考えさせられます。
子どもたちも、きっとこの詩と向き合う時が来るに違いありません。その時に気づき、考えることもたくさんあることでしょう。
でも、今はまだ気づいていません。だから私たちから水をあげなくては・・・。