2009年12月1日
マスクの中で
先日、福井県のインフルエンザの罹患率が全国的にみても高いものであることが報告されたのは記憶に新しいところです。例年ならばこれからが季節性インフルエンザ拡大の時期であることや、強毒性のものが登場することが十分に懸念されることを考えると、さらに予防体制を強化していく必要を感じます。
その予防のためのマスクの着用も定着してきた感があります。今、給食以外はずっとマスクをしている生徒も少なくありません。11月中に各小学校で学習発表やいろいろなフェスティバルが開催されました。ある小学校のフェティバルを訪問したときに感じたことです。3年生の学級のブースに呼び込まれました。たった一人の聴衆を前に、海について自分たちの調べたことをとても分かりやすく、一生懸命に説明してくれました。でも聴きながら、この子たちの発見した嬉しさや驚きが伝わってこないのです。言葉では「楽しかった」「おもしろかった」をアピールするのですが、どことなくフィルターがかかった状態で、なんとなく違和感を感じていたときです。それまでマスクをしていた女の子でしたが、少し話しづらかったのでしょう。途中でマスクをあごの下に下げたのです。そこから出てきたのはニッコニコの笑顔でした。今まで表に出なかった、調べ学習の楽しさや感動が顔全体からあふれていました。そのとき改めて「楽しさや哀しさを言葉以上に口元や顔の表情で伝えているんだ。」ということを感じました。
マスクをすることでコミュニケーションがとてもとりづらくなっているのは間違いありません。しかも、自分の表情が伝えられないということで、自分の存在が透明感のあるものになっているのも感じます。子どもたちがそんな状態を長く続けることが予想もしない問題を生み出したりしないだろうかと不安にもなります。
今はマスクは避けられません。でも、一日も早く、マスクをはずし、自然なコミュニケーションがとれる日が来ることを願っています。