予算決算特別委員会での質疑内容

県議会の記録

R3 9月29日 予算決算特別委員会での質疑内容です。実答弁も併せて記します。

辻一憲議員への黙祷で始まった予算決算特別委員会でした。
私からは、冒頭で言葉を発しましたが、大変お恥ずかしい姿になったのかもしれません。
ただ思うのは、県政にとって大きな方を失ったという事実を私たちは自覚しなければならないということです。

今回、金ヶ崎を取り上げてよかったと思います。

1.敦賀金ヶ崎整備について 

 新幹線敦賀開業を2年半後に控え、街づくりという点では、開業の延期がなければ、本来整備が完了しているべきはずの時期でもあります。
その視点から現在の状況を眺めたとき、整備が着実に進められているのか疑問を感じるところです。
ちょうど1年前の9月議会で、金ヶ崎の将来像とこれからの取組みの内容について伺いました。
 その後、県の協力もいただき、新ムゼウムが昨年11月3日にオープンし、新しい金ケ崎整備の一歩が踏み出せたことに、喜びも感じました。
 また、何点かの質問を通して、その時点では、敦賀市との連携がうたわれ、協議の場を持っていくとの答弁もいただいておりますし、「敦賀は嶺南振興の玄関口、ゲートウェイである」という言葉は、いろんな場で耳にします。
 ただ、2024年まで2年半、どんどん日が過ぎていく中で、何がどのような方向に動いているのか、市民・県民からは、まったく見えず、現在の状況に不安を感じている市民も少なくないのが現実です。
このままで、金ヶ崎整備は進んでいくのでしょうか。新幹線敦賀開業は2024年春。それまでに整備をしていくという方向性について確認したいと思います。

 敦賀市も県も、2024年春を目標としているものと考えますが、その整備状況のイメージは、共通理解されているのでしょうか。
1年前の質問に対しては、「敦賀で新幹線を乗り換えるのではなくて、降りたくなるような、そこから嶺南全体にお客さんを拡げていく、そういう場所にできるように、県としても努力をしていきたい。市の方で民間資本を活用した飲食・物販施設の整備が計画され、そのための民間事業者との対話も進められているとお伺いしている。」と方向性が示され、新ムゼウムの周辺については「スケジュール的には、令和2年度末までに事業者の募集・選定、そして来年度(つまり令和3年度)以降に設計、工事に着手して、新幹線開業に間に合わせることを目指していると聞いている。」とありました。
 本来であれば、金ヶ崎の目指す姿、グランドデザインを描いたうえで、新幹線開業までにそれを実現すべきなのだと思います。
ただ、開業まで2年半という時間軸の中で、どのようなステップで整備を進めていくのかという点では、いろいろな考え方があるのも事実です。

➀ 目標とする2024年春に向けて、現在の進捗状況をどのように捉えておられるのか。また、県としてどのようなロードマップを持っておられるのか知事に伺います。特に、財源確保は、どの時点でなされるのでしょうか。

答(知 事)
 敦賀市の金ヶ崎地域につきましては、元々、平成30年に市の方で金ヶ崎地域の施設整備基本計画が策定されており、その中で、新ムゼウムですとか、今ご紹介いただきました飲食・物販施設、さらには鉄道遺産を活かした施設といったようなことが書かれているところです。そういう中で、昨年の11月3日に敦賀の新ムゼウムが開業したところです。
その一方で、飲食・物販施設と、それから鉄道遺産を活用する施設につきましては、これは鉄道事業そのものが廃止されてしまっておりまして、なかなかまた再度鉄道として活かすという方法が難しい状況に既になっており、今の飲食・物販と鉄道施設については、なかなか具体性が伴っていない状況かなという風に思っています。県といたしましても、何とか新しい事業者さんがここに来られないかということで、今、事業者探しをしっかりとさせていただいているところでございますが、まずは、敦賀市さんとして、こういったところをどういう風に具体的に事業として位置付けてやっていくのかということを明らかにしていただく必要があるかなと思っています。
そういう議論の中に県もしっかり入らせていただいて、絵が描けてきたところで、役割分担しながら県としても応援をさせていただく、また、財源の面も含めて、国の事業の適用も含めて検討もさせていただいて、少しでも早く開業できるようにしていきたいと考えているところです。




 前回にも取り上げさせていだいた中で、気がかりだったのは鉄道遺産である転車台の扱いでした。今後も、鉄道遺産の活用と扱いについては、慎重かつ効果的なものであるべきですが、現在保管されている場所は、全体の計画に於いては、有効な位置でないのも感じています。
これも前回の質問に対して、「具体的には、今年度(令和2年度)、市と協議を4回行っている。転車台の動体保存ということにはなかなか課題が多いので、それに拘らず、どう活用していくかという協議を進めている。例えば、転車台の一部を用いてモニュメントとして活用するとか、具体的な活用策について、検討を進めているところで、引き続き市と協議していきたい。」との答弁を頂いています。

➁ 鉄道遺産も含め、昨年9月以降の市と県の協議の状況をお伺いするとともに、転車台の活用についてどのような方向性をもっておられるのかお伺いします。

答(新幹線・まちづくり対策監)
転車台を含めました鉄道遺産の活用方法につきましては、昨年の9月以降も引き続き敦賀市と協議を4回重ねてまいりました。
こうした中で、転車台につきましては、単体で考えるのではなく、例えば、赤レンガ倉庫内の鉄道ジオラマでありますとか、倉庫横のキハ28など、既存の鉄道関連施設との相乗効果を得られるような活用方法をベースに、市とともに具体化を検討してまいりたいと考えております。



敦賀市では昨年4月からシェア・サイクルが準備され、駅から、金ヶ崎までの歩道路面にも、方向を示す案内表示がなされました。ボードウォーク近くの緑地には、プロジェクション・マッピングが展開され、街づくり団体の力で、敦賀郵便局から金ヶ崎緑地にかけての植込みに夜のイルミネーションも設置されました。
ただ、未だに単発のものである感は否めません。
新幹線開業に向けた金ヶ崎整備のグランドデザインは、あくまでも敦賀市が主体なのでしょうが、市にすべてを任せるということはできないのは言うまでもありません。 現に、市としても、苦しんでいる状況です。

➂ 金ヶ崎整備のグランドデザインに県はどのように関わっていくのか伺います。

答(新幹線・まちづくり対策監)
これまでも、県では、金ヶ崎周辺整備構想、これは平成24年策定ですけれども、金ヶ崎周辺施設整備基本計画、平成30年策定でございますが、この策定委員会にも参画いたし、計画づくりの段階から協力をしてまいりました。
 先ほど知事からお答えしましたとおり、飲食・物販の施設であるとか、鉄道遺産の活用など、計画通りに進捗していないものもありますので、改めて、市が主体となって金ヶ崎全体の将来像を示す必要があると考えています。県といたしては、これまでと同様、市に協力をしてまいりたいと考えています。




 8月31日の朝刊に、敦賀駅西のホテル建設が開始されたとの報道がなされました。一市民として、新幹線開業に向けたまちづくりが大きく進んでいくことを予感し、大変嬉しく感じました。サウンディングから、ここまで進めてこられた行政の皆さんのご努力に敬意を払います。
しかし、金ヶ崎となると、一向に進んでいく姿が見えないのも事実であります。その原因はどこにあるのでしょう。
少なくとも、金ヶ崎ならではの難しさが2点あります。

 その1つは、駅西のホテル建設の場合には、市の管理する土地に市の事業を立ち上げましたが、金ヶ崎の場合には、市と民間と県が管理している場所があり、多くは県の管理地であるということです。
それ以上に大きな2つめの難しさは、金ヶ崎整備には、県も市もいろんな部署が関わっている点にあります。
大きなものだけをあげても、県としては、
〇嶺南のゲートウェイとしての敦賀の活性化という面では嶺南振興局二州企画振興室、
〇鉄道遺産や転車台に関しては地域戦略部交通まちづくり課、
〇オルベージュに関しては交流文化部ブランド課、
〇旧ムゼウムは交流文化部文化・スポーツ局、
〇もちろん敷地全体の管理は土木部港湾空港課・敦賀港湾事務所となっています。

一方、敦賀市は、
〇飲食・物販をはじめとするハード整備に関しては都市整備部、
〇社会実験やムゼウムといったソフト面に関しては観光部が関わっています。
もちろん、
〇財源的な部分には、それぞれの財政が関わってきますし、
〇ムゼウムの捉え方によっては、教育委員会の範疇となります。
県・市ともに、多くの部署が金ヶ崎整備に関わっています。

それぞれに担当者間での情報交換はなされていたとしても、一体となった深部での協議は難しい面があるように感じますし、それぞれに、自分の所管だけでは進められない微妙な部分に接しています。
例えば、5年ごとに占用の許可が必要となる港湾管理地に、長期的な見通しで民間資本が投資すること一つを捉えても、難しい話であるのは明らかです。
 私は、現在のスピード感の感じられない状況は、それらを束ねる組織が構築されていないことにあるように思えて仕方がありません。
職員の皆さんが、それぞれに優秀な方々であることは、間違いありません。
 問題は、どの場で発信し、どこで深められ、方向づけられるのか 明確な場が存在しない点にあるのではないでしょうか。
このまま時間だけが過ぎていくとしたら、それは敦賀市と県の両者の責任を問われることにもなりかねません。もう時間は残されていません。
 相手任せにせず、胸襟を開いて、一緒になって考えていく、知恵を絞る必要があるよう感じられます。
そこで、

➃ 敦賀市、県の関係部署によってプロジェクト・チームを立ちあげることを提案します。そこに、必要に応じて専門的なノウハウを持った人材や民間組織の代表を加えることも必要なのだと思います。ただし、メンバー構成の視点として、採決者に極力近いメンバーであることが必要であると考えます。
この点について、知事の所見を伺います。【地域戦略部】

答(知 事)
金ヶ崎の事業の進め方についてご質問をいただきました。これまでも県は嶺南振興局をはじめとして、関係各課、今ご説明もいただきましたが、様々な部署でいろいろなプロジェクトに対して積極的に関与、応援をさせていただいてきたと思っています。金ヶ崎の場所というのは私も何度も行かせていただいていて、お話も聞いていて常々思うのは、たとえば100年前のポーランド孤児の受け入れの話ですとか、また80年前の杉原千畝さんの命のビザ、こういったことで本当に命と関わるような、そういう大切な場所でもありますし、また、欧亜国際列車の発着点になっており、言ってみれば日本の玄関口、そういう場所とも言えるわけで、本当に大切であるし、歴史があってストーリーもあって発信力のある場所だなとつくづく感じています。
具体的な進め方については、つい先日も市長さんにもおいでいただいて、先生方にもおいでいただいて、全体の重要事業ということでご要請もいただいています。その時のお話を伺っていても、正直に言うと、まだ構想的な段階を超えていないなという印象も持ったところです。今もプロジェクトチームという話もいただきました。まず、私も渕上市長さんと一回どういう風に進めるかということを胸襟を開いて、今お話をいただきましたし、ご相談を始めて、プロジェクトチームもそういった大きな方向性を見ながら具体的に一つ一つ解決していかなければいけませんので、一番合った形で考えて進めていきたい、そう考えております。




 それぞれの部署単位では、かなり煮詰まった点も少なくないはずです。
それだけに、PTを設けることで、予想以上のスピード感で進展することも十分に期待できます。

 先日(9/24に持たれた)の市長からの知事要望の協議の中で、知事からの「一緒に」という言葉を何度も耳にしました。 敦賀市が期待し、願っているのも「一緒に」ということなのではないのでしょうか。
  是非、その現場の声を具現化していただきたいと思います。
 

2.教員の再任用について
 
 次年度から、退職教員再任用の雇用形態が一部変更となり、小中学校ではフルタイム勤務が中心となるとのことです。
一般質問の答弁の中でも、次年度フルタイム勤務を希望している人数が285名と示されました。
先日の常任委員会の中でも、県教委は、次年度の再任用の募集の中で、市町へは「できるだけフルタイムを希望してほしい。」と伝えてもらっている。とのことでしたが、
まず

➀ 退職者の中には、時短での勤務を希望する声も少なくない中、285人という数は、私としては、予想以上の人数だったわけですが、フルタイム勤務を求めるという背景はどこにあるのか伺います。

答(教育長)
これまで小中学校では、再任用の短時間勤務を希望する退職者が増え続けてきたことから、現場のニーズを踏まえた教員の配置が著しく困難となってきています。
また、近年、多数の教員の退職に伴いまして、採用する若手教員が増加します。そして、それによって、産休や育休の取得者も増えているため、その代替教員が今不足しているという状況です。
全国的に見ますと、再任用においてフルタイムを選んでいる方が、全国平均で3分の2ございます。その点、福井県では約4割という低い状況になっています。そういったこともあり、市町の教育長と話し合いを行いまして、これから定年延長とか見据えると、やはり退職しても、少なくとも1、2年はフルで頑張ってもらおうという話になり、次年度からはフルタイムを基本に置きながらお願いしているところです。


  
➁ 総務教育常任委員会の中で、「産休、育休の代替えには、再任用以外に声をかけていきたい。」とのことでしたが、具体的には、どのような配置を考えておられるのか、そのスキームを伺います。【教育庁】

答(教育長)
最近の傾向といたしまして、教員免許を持っている若手の講師の数が年々減少してきておりまして、年度途中の産休とか育休取得者に対します代替教員がなかなか見つからないという状況です。
そのため、退職者には再任用のフルタイム勤務をお願いしているところですが、諸事情によりまして、1年間のフルタイム勤務や短時間勤務も、一応1年間を想定しての短時間勤務ですので、そういったことがなかなか難しい退職教員につきましては、例えば1か月から3か月程度の短期間での臨時的任用講師として、産休・育休の代替教員をお願いしたいと考えております。




 心配なのは、現在、県の会計年度職員として現場に携わっている職員の方のこれからの扱いです。
再任用がフルタイム中心となっていくことで時短勤務希望の方の中には、再任用での勤務をあきらめ、会計年度の職務を希望する方が増えてくることも想定されます。
そのことによって、現在県採用の会計年度職員の方、特に「特別支援講師」、「低学年生活支援」をされている方の中には、採用が厳しくなるのではないかという不安を抱えている方もおられます。

➂ 次年度の会計年度職員に関してその心配はないのでしょうか。 今後の見通しと対応を伺います。

中には、県の会計年度任用職員をしていた方が市町の会計年度任用職員の勤務に就いたり、あるいは逆の場合もあるものと思われますが、その時の課題として、県雇用と市町雇用という管理者が異なることによって、いろいろな違いが生じることが想定されます。
その一つが、ボーナスの支給額の算定です。例えば、3月まで市町で雇用されていた方が4月から県に雇用されると、ボーナスの算定の際、その年の1月から3月までの勤務の評価がされず、支給額に大きな影響がでてきます。

答(教育長)
今年2月の退職教員への意向調査では、フルタイムか短時間勤務の再任用希望の調査を行いました。低学年生活支援員等の会計年度任用職員の職務の希望については確認をしておりません。また、会計年度任用職員の必要人数も年度によって増減することから、現時点で見通しを申し上げることはできません。
来年度の会計年度任用職員の任用につきましては、生徒数とか学級数等を踏まえ、それぞれの必要な人数を確定して、資格要件を満たす方々から広く募集し、面接等を実施して公平・公正に採用することとなっています。




➃ それに対して、手立てをとっていくことが必要であると考えます。他県はどのような手立てをとっておられるのかという研究はなされているのか伺うとともに、本県においても、何らかの手立てが求められますが、それに対する見解を伺います。

答(教育長)
新しい地方公務員法におきましては、月額で給与を支払っている会計年度任用職員については、期末手当の支給が可能となりました。本県では、「特別支援講師」や「低学年生活支援員」に対して支給を行っています。
期末手当の支給につきましては、会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルが、平成30年10月に総務省から示されているのですが、それによりますと、「任命権者が異なる場合には、基本的に通算することについては想定していない」としておりまして、本県でもそれに準じてお、他県においても同様の取り扱いとなっています。




 福井県でも、学校に勤務し、同様の職務を担っている方に、任命権者が変わっても、勤務期間を通算することはできないのでしょうか。また、ボーナスの減額分を目途として、退職にあたっての退職金的な積みたてを設定するなどの手立てはとれないのでしょうか。

 学校教育が、市町も県も、会計年度職員の方々によって支えられているのは 間違いありません。
その中で、今、管理者にとってだけ都合のよい雇用の仕方が通用しなくなっています。全体を俯瞰して、丁寧な再任用、会計年度職員の確保が求められています。
 その点関して、教育長の所感をお伺いして区切りたいと思います。

 4 更問①
  確かに法的にはそうであるが、他県ではそれに対して対応を進めている、そういう前例はないのか、その点についてはいかがか。

答(教育長)
他県においても同様な扱いをしていると聞いておりまして、研究しているという県は掌握しておりません。


(北川議員 意見)
 ぜひ、教育先進県である福井県ですので、その研究についてはまず先頭に立って進めていただくことが必要でないかと思います。恐らく、いろんな混乱は生まれてくることは想定内です。その点をぜひお願いしたいと思います。
例えば、算定期間を積みあげることが無理ならば、ボーナス時に大きな減額になってしまう部分を、積み立ててある程度残していくとか、プールしていくとか、その方法も含めて、ぜひ検討していただきたいなと思います。


 4 更問②
  今、学校教育が市町も県も会計年度任用職員の方々によって支えられているのは間違いありません。全体を俯瞰して丁寧な再任用、会計年度任用職員の確保が求められていくと思います。その点に関して、教育長の主観をお伺いしたい。

答(教育長)
会計年度任用職員の中には、例えば、シニアティーチャーみたいな、当然、退職し今までの経験を生かせるような職もございます。やはり再任用の短時間まではいかないけれども、こういうちょっとした時間を使って、また教育の世界で頑張りたいという教員もいらっしゃいます。
難しいのは、これから定年延長になってきますが、その中で健康上の問題、あるいは介護を抱えている、あるいは自分の人生設計上の理由とか、いろんなことで教員も多様な働き方が求められてくることになってきますので、それに教育長として、教育委員会としてしっかりと対応してまいりたいと思います。


(北川議員 意見)
今の言葉を、多様な面に対して対応していくということを、ぜひ実現していただきたいと思います。