2020年9月15日
民主・みらい代表質問に対する実答弁
会派代表質問に対する実答弁です。
問一 知事の政治姿勢について
1 新型コロナウイルス感染症について、全ての基準値を超えた場合、即座に特別警報を発令することになるのか、その場合、県民、事業者に対してどのような要請が考えられるのか、知事の所見を伺う。
答(知 事)
福井県におきます感染状況の評価指標につきましては、第1波の経験それから県内の医療提供体制の状況を踏まえまして定めさせていただいているところでございます。
状況というのはですね、刻々と変わるんですけれども、特に発令の段階で際は、どういう感染者が増えているかということで感染者数ということを重視して、発令のタイミングをみるという風に心掛けておりますし、一方で、今度は解除する時には、大体、病床というのは2週間ぐらい遅れて効果が表れてくる。退院まで2週間程度かかるということがありますので、そういう意味では病床の占有率ですとかICUの占有率、こういったものを中心に今度解除のタイミングをみていくというようなことの対応をさていただいているところでございます。
現状について申し上げますと、本日現在では入院患者の新しい1週間での患者さんというのは3人になりましたので、注意報レベルを下回ったというところでございます。一方でICUについては注意報レベル、それから入院患者の数につきましては50床ということで、これは特別警報のレベルという状況になります。
ここの3日間ですね、退院の方それからICUから出られる方、増えていない。新しい患者さんが出ないのに増えていないという状況で、やはり今回の昼カラの患者さんというのが高齢者が多いということで重症化とか長期化、こういったことで今後ですね予断を許さない状況にあると考えているところでございます。
8月27日から今のところ9月24日までと申し上げておりますけれども、感染拡大警報を発令させていただいております。これがさらに感染状況が悪化するような状況になりました場合は、躊躇することなく特別警報等にですねランクを上げていくということも考えているところでございます。
その場合にどういう対策を打つのかということにつきましては、柔軟に状況をみながら対処させていただこうと思っております。例えばで申し上げれば、事業者に向けにては、個別の企業さんに例えば企業名を公表していただいて休業していただく。その時は協力金をお支払いするとかですね、今回のように地域や事業の種類そういったものを限定をかけて休業要請をするということも考えられますし、また、個人のみなさまには、会食大人数を避けていただくということですとか、それから、さらにひどくなってくれば夜間の外出の自粛といったことも考えうるわけでございます。こういったことを柔軟かつ積極的に行いながら感染の拡大の防止に努めて参りたいと考えております。
問一 知事の政治姿勢について
2 今回提案された新型コロナウイルス検査体制の整備にあたり、かかりつけ医での検査体制など、予想される課題、対策について、知事の所見を伺う。
答(知 事)【実答弁】
インフルエンザの流行期におきましては、地域における診療所等大きな病院以外もですね、この新型コロナウイルスの検査にあたっていただく必要がある、
そのためには、感染防止のですね、そういう予防対策をしていただく必要があるという風に考えているところでございます。
今のところ、1日最大3000件程度の検査が必要と思われますので、概ね小さな診療所も含めて、150くらいの診療所に御協力いただく必要があるかなと思っているところでございます。そのために、今月の22日にですね、検体採取ですとかそれから感染防止対策、こういったものの会議、もしくは研修をですね、開かせていただこうということで今募集をさせていただいておりますが、県内に内科医がだいたい285あるんですけども、既に270くらいの診療所等からご応募いただいている、そんな状況でございます。
感染防止の具体的な方策としましては、ドライブスルー方式がありますし、それからまた、これまでもですね、既に各診療所では、インフルエンザの時には、車の駐車場で待ってていただいて、そこで鼻咽頭のですね、検体を採取する、そのようなことをされておられます。そういう意味では、ドライブスルーという方法もあれば、テントとか、それから、プレハブを建てるとかこういうようなことで外でやる、そういうようなこともできるかと思います。必要な費用につきましては、病床を持っているような医院については、上限200万円、病床がなくても100万円の整備費、こういったものが今回予算で措置をさせていただいているところでございますし、個人防護具につきましても、国から配布されるという状況にあるわけでございます。
こうした地域診療所等、こういったものをすべて17市町すべてで設置を行っていきまして、新型コロナウイルス感染症拡大期のインフルエンザ流行期、こういったもののですね、検査を乗り越えていきたいという風に考えているところでございます。
問一 知事の政治姿勢について
3 公費負担による行政検査以外に、検査を希望する県民が、自分たちの地域において、安価で検査を受け、必要な陰性証明が受けられるような仕組みが必要と考えるが、所見を伺う。
答(健康福祉部長)【実答弁】
8月28日に国が「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組」というのを定めました。この中において、新たに、会社や組織の要請によって検査を希望する場合は、全額自己負担で対応できる環境を整備するというものが盛り込まれております。
ただし、行政検査がひっ迫する状況になれば、行政検査を優先するというそういう仕組みでございます。
現在、本県では、検査能力を1日3,000件に引き上げるべく大幅な体制整備を行っております。検査がピークに達する時期以外におきましては、陰性証明の必要な方に対して、医療機関においてこれは国の定める全額自己負担というかたちにはなりますけれども、自由診療によりですね、検査が実施されていくものと考えております。
問一 知事の政治姿勢について
3 公費負担による行政検査以外に、検査を希望する県民が、自分たちの地域において、安価で検査を受け、必要な陰性証明が受けられるような仕組みが必要と考えるが、所見を伺う。
更問 唾液による検査が普及するのはいつ頃か。
答(健康福祉部長)【実答弁】
抗原検査の唾液につきましては、つい最近、開発についての報道が流れている、これが承認されて大量に生産されるという段階が必要でございますので、鼻咽頭の抗原検査のキットとはちょっと状況が違います。したがいまして、状況を見ながらですね、我が県でも必要な数を確保したり、使っていくということについては考えていきたいと思います。
問一 知事の政治姿勢について
4 帰国者・接触者相談総合センターの設置により、保健所の相談体制や職員負担はどのように改善されたか伺うとともに、国の受診手続きの変更への対応について、どのような方針で体制を整備するのか、所見を伺う。
答(健康福祉部長)
帰国者・接触者相談総合センターの設置以後、保健所は積極的疫学調査に専
念できる環境というふうになっております。カラオケ喫茶でのクラスター発生時
には、保健所に個別の相談窓口を設けることで、集中的に疫学調査を実施し、早期収束に繋げることができたと考えております。
また、相談窓口の一元化によりまして、県民の皆さんが相談しやすい状況も生
じておりまして、患者が現われ始めた7月12日以降、1日平均156件であっ
た相談がですね、8月3日の窓口設置後は、平均214件と約4割増加している
状況でございます。
今後は、相談・受診の流れが変更となります。地域の身近な医療機関に直接
相談することになりますが、県民の皆さんが混乱することなく相談できるよう
に、引き続き、この相談総合センターにおきまして、かかりつけ医を持たない県
民の皆さんの相談窓口となっていくことが必要かというふうに思っております。
さらに、新型コロナウイルス感染者等の情報把握・管理システム(HER-SYS)
というのがありますけれども、ここに1人あたり120項目を入力しなければな
らなりません。他県では医療機関でやっておりますが、この相談総合センターで
一括して入力しておりまして、今後、受診の流れの変更により負担の増える医療
機関の支援という役割も担っていくと考えております。
問一 知事の政治姿勢について
5 今後必要となるコロナ対策の財政需要をどの程度見込んでいるのか、また、当初予算の減額、財政調整基金の取崩し、国への要請など、財源確保についてどのように臨むのか、所見を伺う。
答(総務部長)【実答弁】
コロナ対策につきましては、これまで感染防止対策、県内企業への支援を実施してきたところでございますけれど、今後も感染状況によりましては、さらなる対策が必要になるということも想定されます。
そのため、まずは国に対しまして、地方創生臨時交付金ですとか、包括支援交付金につきまして、さらなる増額などの措置を求めているところでございます。
そのうえで、今回のような緊急時に備えて積み立ててきた財政調整基金の活用を検討することにもなりうるわけでございますけれど、並行して既存事業の精査を進めまして、中長期的な財政運営の観点から、できる限り基金残高を維持できるように努めてまいりたいと考えております。
問一 知事の政治姿勢について
6 県内産業の発展と雇用の維持確保に関し、新型コロナウイルスによる県内経済への影響をどう予測し、産業構造がどのように変化していくと考えるか、知事の所見を伺う。
答(知 事)【実答弁】
今回の新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、企業の勤務場所、それから勤務時間が一つは分散した、それからまた、資材を仕入れるとか、もしくは販売先が途切れるというようなこと、また小売とかですね、サービス業におきましては、これは休業要請が解除されても客足が戻らない、こういった状況になっているということを認識をいたしているところでございます。
そのため県としましては、まずは事業と雇用を継続する、こういったことに力を入れております。さらに国の内外からですね、人材、サプライチェーンを呼び戻すということを今回の予算も含めて講じさせていただいておりますし、リモートを使ってですね、新たなビジネスチャンスを広げていく、こういったこともですね、やらせていただこうと考えているところでございます。
具体的に申し上げますと県内にいる大企業、大手のですね、県外資本、こういったところへ県内の企業から、もの、製品をですね、入れさせていただくようなマッチングをするということもございますし、オンラインビジネスを拡大していく、またはeコマース、こういったことも進めていこうと、また、さらにはですね、デジタル化をする人材を集めてくるようなこと、さらには消費喚起、デジタルバウチャーというのを今回提案させていただいていますが、新しい形での消費喚起もさらに進めていく、ピンチをチャンスに変えていくことをですね、考えていきたいと思っているところでございます。
加えて、ものづくりの福井県ですので、こういったことも強みにしながら、新しい形のですね、社会にですね、適応した経済体制にしていきたいと考えているところでございます。
問一 知事の政治姿勢について
7 県内の労働力過剰と人手不足業種などの現状を伺うとともに、「ジョブシェアリング促進事業」を実施する上での課題および見込まれる成果を伺う。
答(産業労働部長)【実答弁】
新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、製造業や観光業、飲食業などでは労働力が過剰となる一方、介護や建設業だけではなく、食品や日用雑貨の小売業などでも人手が不足していると聞いております。
また、今年8月に、この事業の県のパートナーとなります産業雇用安定センター福井事務所が県内企業約250社に対して行った調査によりますと、製造業や医療・福祉、運輸業など、約2割の企業が従業員を企業間で融通し合う仕組みを利用したいというふうに回答しております。
本事業を実施する上での課題としましては、ジョブシェアリングに関する、まずは制度の周知を図ること、そして、従業員の受入れ・送出し双方の企業数をできるだけ多く確保しまして、マッチングの選択肢を増やすことが必要であるというふうに考えております。
そのため、県では経済団体等で構成します「雇用シェア促進協議会」を県が主体となって設置しまして、制度の周知に努めるとともに、双方の企業数の確保とマッチングを進め、解雇によります失業を抑制することで、雇用の安定化に繋げてまいりたいというふうに考えております。
問一 知事の政治姿勢について
7【更問】予算額は、50件で両方に5万円ずつということだと思うが、これだけでは不十分ではないか。ジョブシェアを強力に進めていくにはさらに上積みというか数を増やしていく必要があると思うが、どう考えるか。
答(産業労働部長)
今回の予算では、ご指摘のとおり50件としておりますけれども、私どもも初めての試みでございまして、 50件という形でございましたが、やはり雇用の安定化を図るためには、できるだけ多くしたいという思いはありますので、50件を超えるようになればですね、また補正でお願いするという形で考えております。
問一 知事の政治姿勢について
8 あわら沖の洋上風力の計画について、あわら市や地元漁協などの意見をどのように把握し、建設に向けた課題や地域への経済効果をどう評価するのか、知事の所見を伺う。
答(知 事)
あわら沖の洋上風力発電につきましては、これはもう昨年末から、地元であるあわら市それから坂井市とともに継続的に意見交換を行っております。そして両市とともに関係する漁業者、こういった方々のところに出向きまして、漁業者の考えを伺っているというところでございます。
漁業者からは、一つにはその風力発電の場所が新しい魚礁になるんじゃないかと期待もありますが、一方でやはり漁獲が失われるんじゃないかというようなことの懸念を示されているところでございます。
こうした意見などを踏まえまして、あわら市と坂井市におきましては、事業者に対しまして、漁業それから景観に対する影響を十分に踏まえて、それから地元の理解を得るようにということの助言を行っているところでございます。
地域への経済効果といたしましては、一つには建設をする段階では地域の企業がそこに携わることができるということ、それからまたメンテナンスの段階では地元の船を活用してもらい、それから、あわら市におきましては固定資産税が新たに増収となる、こういったプラス面もあるわけでございます。
建設に向けた課題といたしましては、漁業者を含めた地元の理解を得るということが必要でありますし、また電力事業者との間で送電線網をつなぐといったような必要性が出てまいりますし、建設時には港の確保、こういったものも必要になってくるというところでございます。
問一 知事の政治姿勢について
9 隣県や経済圏との広域連携について、どういった課題、可能性があると捉え、県の発展に向けてどのような展望を持っているのか、その戦略を伺う。
答(知 事)【実答弁】
今、新幹線を始めとして、県内は多くの高速交通網が整備をされようとしているわけでございます。全国的に地域間競争が激しくなっている中で、こういった中でそれに勝ち抜くためには、やはり福井県だけで、もちろん、とんがっていくというのも一つの方法ですし、併せて広域で人や物を受けとめる、そういった体制づくりが重要だということで、隣県との関係の強化に努めているところでございます。そういう中で、「広域パートナーシップの強化」ということを、まずは長期ビジョンの中にも位置付けをさせていただいております。
それで、この北陸新幹線につきましては、大阪への1日も早い延伸、これを沿線の自治体とともに、今、実現を目指しているところでございますし、例えば、北陸デスティネーションキャンペーン、これも北陸3県で取り組んでいこうというふうにさせていただいております。くろまつ号、これも好評ですので、これを民間企業と一緒にやらせていただく、こういうことも進めております。
さらに、中部縦貫自動車道、冠山峠のトンネル、さらには、栃ノ木峠のトンネル、こういったものは、岐阜県とか滋賀県、今までは県の県境に近い方だったわけですが、入口になってくるということで、滋賀県や岐阜県の知事とも、連携の強化を努めさせていただいているところでございまして、こういったことで、道路の整備、それから広域観光の拡大をしながら、「活力人口100万人ふくい」を目指して参りたいと考えているところでございます。
問二 高速交通体系について
1 並行在来線の運賃水準と経営安定基金の規模について、3案それぞれの想定条件、県・沿線市町が基金に拠出できる金額の上限をどう考えるか伺うとともに、これまで要望している国からの運営経費への支援の実現性について、所見を伺う。
答【実答弁】(地域戦略部長)
並行在来線の基金規模を提示しました3案につきましては、いずれも同じ条件のもとに試算をしてございます。具体的には
・まず利用者数につきましては、先行県の実績を参考に、現在と同数が10年間確保されるということを前提としてございます
・次に運賃以外の駐車場収入等の関連事業収入については、現在と同水準
・普通列車、貨物列車等の数についても今の条件におきましては現在と同じ本数
ということで計算をさせていただいております。こうした条件のもとで、運賃水準を変えまして算出したのが3案ということでございます。
基金の規模でございますが、運賃を現状水準とした場合、最大で90億円が必要と見込んでおります。検討にあたりましては、利用者負担と行政負担のバランス、これを考慮することが非常に重要でございまして、今後、先行県の事例も参考にしまして、県議会、経済団体、利用者団体等の意見も聞きながら、沿線市町と調整を進めていくというふうに考えてございます。
並行在来線の運営経費への支援、国の支援でございますが、8月20日に国土交通大臣、9月2日には国交政務官に対し知事から直接要請活動をしていただきました。並行在来線の重要性については大臣からも理解をいただいたところでございます。今後も、様々な機会をとらえて要請をしていきたいと考えてございます。
問三 原子力行政について
1 今回の原子力防災訓練の評価、分析、来年度以降の改善点を伺うとともに、訓練で明らかになったコロナ対応に関する課題をどう認識し、広域避難計画に反映させていくのか、知事の所見を伺う。
答(知 事)
今回の訓練では、コロナ禍ということで、検温ですとか人の間隔を取るという感染症対策を取らせていただきました。また、一時避難所におきましては陽圧化を行うことで外からの放射性物質を取り込まない、一方で、換気をちゃんとするということにも取り組ませていただきました。また、避難所での運営ですとか、バス避難での方法についての訓練を行わせていただいたところでございます。
一方で、課題といたしまして、①どうしても入り口のところが密になってしまったということ、②検温とか問診の時に列ができてしまった、③さらには、より多くの避難スペースや避難のバスが必要になる、こういったことが明らかとなりました。
従いまして、広域避難計画に基づきますガイドラインにつきまして、こういった点について、改めて改善点、どういうふうに改善するのか、そういったことを書き込みさせていただきまして、国や市町、関連の事業者とともに、新しい知見に基づいた訓練を実施しながら、改善点の検証も行っていきたいと考えております。
問四 福祉行政について
1 患者が多い疾患や増加傾向、人工呼吸器装着、体が動かせない難病患者の状況を伺うとともに、京都のような事件が発生しないよう、難病患者、家族を支える環境づくりに向けた具体的な支援策について、知事の所見を伺う。
答(知 事)【実答弁】
難病で治療中の方は本県におきましては、昨年度末で142疾患の疾患につきまして、5,846人の方がいらっしゃる状況でございます。内訳を見ますと、約3分の1の方がパーキンソン病と潰瘍性の大腸炎ということになっているというところでございます。
最近は、少しずつ全国と同じように数が増えているという状況でございます。また、人工呼吸器の装着者の数は9月1日で51名になりました。また、体が動かせない方は168名という状況になっております。
各保健所におきましては、保健師を各家庭に訪問させる、または、在宅療養の支援体制づくり、こういったことを行っておりますし、また、難病支援センターにおいて、相談の対応を行っているというところでございます。
また、県が患者会に対しまして、同じような患者さん、悩みを持った方々がお互いに話し合える、相談し合える、そういった心の交流を図っているいただくように委託をしております。
さらには、家族への支援といたしましては、全国に先駆けて、レスパイトへの支援、こういったこともさせていただいているところでございます。
こういったことを続けながら、今回発生しましたような痛ましい事件が県内で起きないように、さらに支援に努めていきたいと考えているところでございます。
問四 福祉行政について
2 中軽度障がい児の保育園受入れに関し、こども療育センターの機能を強化し、県全体の情報を広く取りまとめ、県内施設の受入れ状況等を公開することも必要と考えるが、所見を伺う。
答(健康福祉部長)
障がいの有無を含めまして、住民の保育ニーズに応じて受入環境を整えるということは、子ども・子育て支援法上、市町の責務となっております。
県内の保育所等は、障がいをもつ子どもさんも受け入れることを想定した施設になっておりまして、基本的に全ての施設で受入れは可能であると、この意味で受け入れの可否という区別は存在いたしません。
ただ、入所につきましては、各市町の児童福祉相談窓口に相談していただくことになりますけれども、障がいの内容によりましては保育士の加配でございますとか、設備を整える必要があって、年度当初からじゃないと入所できないというようなことは起こってまいると思いますので、そのためにも、入所を希望する際には、早めに御相談いただくことが肝要かというふうに考えております。
県におきましても、加配保育士の応援でございますとか、保育従事者の資質向上の研修などをしながらバックアップしていきたいというふうに思っております。
問四 福祉行政について
3 次期「福井県介護保険事業支援計画」においては、多重介護・老老介護を担う介護者の負担軽減策について盛り込まれると考えるが、これまでの議論で検討されている課題、対応策の方向性について、所見を伺う。
答(健康福祉部長)
多重介護・老老介護の問題につきましては、検討会議を重ねてまいりましたけれども、コロナ禍におきましては、逆に全市町、それからケアマネジャーや民生委員等の団体を訪問する形で意見を伺ってまいりました。
この中で、共通の課題として明らかになったのが、現在の介護システムというものが、介護される側、要介護者の状態把握に重きを置いている、一方で介護する側、介護者の状況を把握する仕組みがないということでございました。
このため、夏にかけて、介護者の状況について、ケアマネジャーなどの専門家が介護負担の度合いを測るチェックシートというものを作りました。それから、民生委員など地域の見守りをされている方、一般の方も利用できる気づきのチェックポイントというものを作りまして、現在、市町でこれを活用して、多重介護や老老介護のリスクのあるケースの把握をスタートしております。この多くのケースにおきましては、必要な介護サービスを御提供することで介護負担の軽減につなげていけると考えております。
一方、中には、介護だけでなくて福祉全体で取り組まねばならないケースもみられておりますので、こうしたケースに対応できる新たな仕組みを作りたいということを考えておりまして、今、市町とともに検討を進めております。今年度策定する、次の介護保険事業支援計画の中に盛り込めるように、今作業を進めているという状況でございます。
問五 産業行政について
1 福井北インターおよびジャンクション周辺の整備について、中部縦貫自動車道の開通による物流輸送の需要を県内経済の発展に最大限つなげるため、物流関連企業の拡大や誘致を戦略的に進めるなど、ビジョンが必要と考えるが、所見を伺う。
答(知 事)【実答弁】
福井北に限らずですね、県内のインターチェンジの周辺につきましては、福井経済新戦略におきまして、ロジスティクスの拠点としてですね、例えば、工場のようなその荷主さん企業ですとか、それから物流の企業、こういったものを誘致するということを決めているところでございます。
福井北インターの周辺につきましては、ご案内のとおり市街化調整区域でありますし、農振地区ということもございまして、大きな産業団地を作るというのは難しい状況になっているところでございますので、福井市の意向も踏まえまして、個別の企業さんの開発、こういったものに対応していくということでやらせていただいております。県といたしましては、場所はこういういい場所がありますよとか、こんな制度融資できます、こういったご紹介もさせていただいているところでございます。
そういう中で、具体的には、平成29年にはですね、このインターの周辺のところで食品関係の物流拠点ですとか、それから昨年におきましては、例えば、郵便とか航空貨物、こういったものの物流拠点、さらには小売店のですね物流拠点、こういったものの誘致も行ったところでございまして、これから、中部縦貫自動車道の全線開通に向けてですね、このメリットをさらに活かしていけるような誘致を務めていきたいと考えております。
問五 産業行政について
2 鳥獣害対策について、被害防止のためのロボットやIT技術の活用方針、処理・加工施設整備の嶺北での実現性について、認識を伺う。
答(農林水産部長)
鳥獣害対策のIT技術活用につきましては、これまで遠隔操作が可能な捕獲檻や電気柵遠隔監視システムなどの導入を支援しておりまして、普及を進めているところでございます。
今後、威嚇ロボットなどにつきましても、効果を確認しながら導入を支援してまいります。
嶺北における捕獲鳥獣の処理・加工施設につきましては、県が調整役となりまして、嶺北全市町と協議を行いましたが、合意に至らず、その整備を断念したという経緯がございます。
今年5月にも嶺北市町に意向を確認いたしましたが、ほとんどの市町が現在実施している埋設や民間委託による焼却処理を可能な限り継続したいとのことでございました。
県といたしましては、今後市町と連携しながら、市町単位による処理施設の設置に向けまして、国庫事業の採択など必要な支援を行っていく考え方でございます。
問六 土木行政について
1 流域治水の目指すもの、国、県、市町の役割を伺うとともに、具体的にどういった取り組みを地域住民に期待するのか、所見を伺う。
答(土木部長)【実答弁】
流域治水は、従来の河川管理者等による治水対策に加えまして、企業や住民も含めましたあらゆる関係者が主体的に治水対策を行い、防災・減災が主流となる社会の構築を目指すというものでございます。
国や県では、それぞれ管理する河川で河川改修やダム建設の推進、河川監視カメラの増強などの対策を進め、市町に対しましては、流域内での雨水貯留や水害リスクの高いエリアでの土地利用規制など、流域対策を求めることとしております。
具体的に申しますと、農家の方々への水田貯留の実施や、一般家庭での宅地内の雨水貯留施設の設置のほか、家屋の移転や改築など、様々な協力を求めることが考えられます。
これらの流域対策は住民の理解と協力が極めて重要であることから、具体的な取組内容につきましては、各水系の協議会等におきまして十分に検討して参りたいと考えております。
問六 土木行政について
2 災害時の避難方法を決めておく個別計画の策定状況および目標設定を伺うとともに、福祉施設の入所者や自力避難が難しい在宅の高齢者・障がい者の避難の確保に関する課題、取組方針について、知事の所見を伺う。
答(知 事)
県内には、在宅の要支援者は約6万5千人いらっしゃいまして、そのうち個人情報を出してもいいよとおっしゃっていただいている方が3万人いらっしゃいます。その6割にあたる、約1万8千人について、9つの市でですね、個別計画を策定しているところでございます。
今後ともですね、まずは、この自分の個別情報をですね、個人情報を出していいとおっしゃっていただいている方、この方々の個別計画の策定を急ぎますとともに、さらに3万5千人、まだ個人情報を出していいと言っていただいてませんので、この方々の了解を得ていくという努力をして参りたいと考えております。
また、在宅の要支援者の避難につきましては、安否の確認ですとか、それから避難する時、支援していただく近所の方のお力というのを確保していかなければいけないという課題もありますので、市や町の例えば防災とか福祉の関係者に対してですね、先進事例などの研修会を行って、それがしやすいような環境を作っていきたいと考えております。
また、施設入所者につきましては、一般住民よりも逃げるのに時間がかかるとか、それから移動手段を確保しなければいけない、さらには、避難開始の判断をしなくてはいけないということで、避難確保計画を各施設で作ることになっております。これについてですね、施設管理者の皆様に対して計画策定をですね推進することを市や町で行っておりますので、県としてもこれらをですね、講習会等で応援していきたいというふうに考えているところでございます。
問七 教育行政について
1 新型コロナウイルス感染による福井市小学校の臨時休業期間を4日、中学校を5日とした根拠、考え方を県教委はどう把握し、どう評価しているのか伺うとともに、県立学校の生徒が感染した場合、どのような基準と対応を考えているか、伺う。
答(教育長)【実答弁】
新型コロナウイルス感染者の発生による臨時休業期間につきましては、文部科学省の衛生管理マニュアルを踏まえた県の指針におきまして、「保健所による濃厚接触者の範囲の特定や検査等に必要な日数・範囲」で臨時休業を実施するとしておりまして、各市町や県立学校に通知をしております。
今回の事例におきましては、こうした指針に沿って、保健所の意見や施設の消毒に必要な期間を考慮しながら、学校設置者において適切に対応したものと考えております。
県立学校につきましても、児童生徒の安全安心を第一に、保健所と十分協議しながら、適切に判断してまいります。
問七 教育行政について
2 外国籍の子どもが保護者の就学義務から除外されていることに対する見解を伺うとともに、本県における外国籍の子どもの就学状況と支援の方針を伺う。
答(教育長)
学校教育法等により外国籍の子どもの保護者に就学義務はないものの、本県でも公立の小中学校への就学を希望する場合には、国際人権規約等を踏まえ日本人児童生徒と同様に無償で受け入れ、教科書等も無償で配布しているところでございます。
外国籍の子どもと共に学ぶことにより、本県の子どもたちにとっても多文化共生社会に生きる人間として望ましい態度や能力が育まれるとともに、将来的に本県に貢献する人材を育成する上でも、外国籍の子どもに就学の機会を保障することは重要であります。
県内の外国籍の子どもは、保護者の考え方や短期間の就労等の理由で就学していない児童生徒、昨年5月の調査では5人おりましたけれども、こうした児童生徒以外は、全て就学をしております。
例えば、外国籍児童生徒が多い越前市では、転入を担当する課に通訳者を配置したり、教育委員会が多言語による就学案内を配布する等、密に連携しております。他の市町に対しましても引き続き、外国籍の子どもたちが安心して学び生活できますよう、こうした取組により保護者に就学を促すよう働きかけてまいりたいと考えております。