指揮者に

合唱

 合唱コンクールに向けて熱が帯び、指揮者と伴奏者が悩む時期になります。指揮者の責任は何なのか?・・・人によっていろいろな考えがあることと思いますが、私の思いを4点記しておきたいと思います。

その1
音楽の邪魔をしない 少しでもプラスになること
学級の仲間のつくろうとする合唱、歌おうとする思いを邪魔することはあってはなりません。(そんなことをわざとするはずはありませんが)たとえば3拍子の曲を4拍子にとってしまったり、みんなの考えるテンポと違和感があったりしては、歌いにくいのは事実です。合唱はやがて指揮がなくても、お互いに探りながらも最後まで歌えるようになります。そのときに、自信をもって息をそろえる、思いをそろえる、表現を整えるためにプラスになることが求められるのです。

その2
自分自身も歌うこと
できれば、全パートの欲しい部分
歌うことで、みんなとの一体感は大きくなります。
歌うことで、ブレスの大切さと位置が分かります。
歌うことで、歌詞の言葉がはっきりしてきます。

その3
曲の中にある多様な二つの対比を示すこと
一つの曲の中にも、いろいろな場面があります。その対比は大切な要素です。
それを感じること、示すこと、言葉で伝えることは大切です。
たとえば 
○テンポが速いと遅い ○大きいと小さい ○激しいと穏やか
○明るいと暗い ○嬉しいと哀しい ○固いと柔らかい ○陰と陽
○太陽と月 ○熱いと穏やか ○深いと浅い ○現在と過去
○現実と空想 ○絶望と希望 ○なめらかさと堅さ ○高揚と冷静

その4
メトロノームではない価値を示すこと
正確にテンポをとるだけならば、メトロノームに分があるのかもしれません。
だからこそ、人でしかできないものを大切にしてほしいと思うのです。
メトロノームに表情はありません。(表情には、「その3」の二つの対比の全てが含まれます。)メトロノームは声を出せません。そして、メトロノームには感情はありません。 だからこそ、人でしか指揮はできないということなのでしょう。
指揮をする以上、人でなければならないのだと思います。