代表質問の記録2 大雪への対応

県議会の記録

今回は、2大雪対応についてです。
いろいろな角度からの質問があったため、大きな項目として掲げました。

2 大雪への対応

 1月上旬、本県は、嶺北を中心に大雪に見舞われました。ラニーニャ現象や地球温暖化を背景に数年おきに大雪の可能性があるとの指摘もあり、今後、企業や行政のBCP計画に大雪災害を位置づけるなど、大雪時にも社会や経済が成り立つ環境作り、行政が外出要請を呼び掛ける時の経済的な補償や支援を行う仕組み作りなど、大雪を前提とした社会のあり方の検討が必要です。今後、大雪災害に対応できる福井県を目指すべきと考えます。
 
(1)大雪時の除雪体制

 さて、今回の大雪では、3年前の教訓が生かしきれず、再び北陸道と国道8号において大規模な立ち往生が発生し、先日、国交省、中日本高速が対応策を公表しました。「渋滞・滞留の発生・長期化」を防ぐため、北陸道と国道8号の同時通行止めがうたわれておりますが、どちらか一方だけは何としても止めない手立てを追求すべきです。国道8号の四車線化の加速化を改めて強く求めていくと同時に、第三の幹線作りを求める声もあがっております。
また、先月29日の北陸道の通行止めは、多くの車両が国道8号に流入して大渋滞を引き起こし、県民生活や広域物流に大きな影響を与えました。3年前、そして今回のような大雪被害が続けば、県民生活や広域物流への影響はもちろん、本県に対する風評被害にもつながり、観光、企業誘致、移住など、長期ビジョンが示す様々な施策にも大きな影響を及ぼしかねません。
➇今回の大雪を踏まえた対応策、先日の予防的通行止めなど、県内幹線道路の除雪に対する国・中日本高速の対応についての評価を伺うとともに、広域災害対応を担う県として、県民の生活や経済に大きな影響を与える通行止め等の意思決定に対しては積極的に関わっていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。

答(知 事)
 今回の1月上旬の県内での大雪を踏まえ、国やNEXCOにおいては事前の通行止めを含む対策を打ち出しています。
これに対して、私どもとしては、そうした事前の通行止めを行うのであれば、県民、それから運送事業者、等への事前の徹底した周知を行うこと、さらには広域迂回等を行うことで、流入する車両を減らす、さらには除雪力を高める、といった努力を同時にしてトータルで見て通行止めの時間が最短になるような手法をとるように強く申し上げ、特にNEXCO中日本の社長には私から直接申し上げています。
こうした中で、具体的に通行止め等に伴う重要な決定をすることについては、国のほうの有識者会議でも中間報告の中で一定の考え方が示されていますが、私どもも、国に対して、国交省を中心として関係者にしっかりと話し合いや協議ができるような体制を今後とも求めていきたいと考えています。



(2)除雪体制における県と市町の連携

 さて、県・市町の除雪計画について、除雪指示を出すタイミング、除雪機械の増設、オペレーターの育成や他業種からの新たな人材の確保など除雪体制の充実、排雪場所やダンプトラック確保など排雪体制の整備、隣県等からの支援体制、除雪の優先順位の見直しなど、様々な観点で検証と改善が求められます。
市町との連携の課題については、県、市町で除雪を発注する事業者が重なることも多く、限られた業者、オペレーターの中で、県道や市町幹線道路を優先して除雪作業を行なった結果、生活路線の除雪に地域間で差が出たこと、排雪にかかるダンプや交通規制の交通誘導員が不足した為、行政からの手配に時間を要したことが挙げられています。
➈3年前に策定した対策では、こういった県と市町の連携した除雪体制の検討が十分ではなかったと考えますが、今回の大雪対応における課題、そしてそれを今後どう改善していくのか、知事の所見を伺います。

(知 事)
 3年前の大雪を踏まえ、今回の除雪については、県、それから市町との連携について、除雪のタイミングをあわせて一斉除雪をするとか、除雪の役割分担をできるだけ柔軟に行わせていただいきました。その中で、また今回、大雪時に市や町に対して県から職員を派遣してリアルタイムでいろんな状況の把握をしたところです。その結果として、雪が止んだ後、県内に385台の除雪車等があったんですが、更に200台、嶺南地域とか県外から応援部隊を入れる。それから、交差点の除排雪を大きい方の道路側が、より曲がりやすいような交差点の除雪を行う。さらには、バス路線ですとか、物流センター、といった所も優先的に除雪していく。現場に行って、それを確認しながらやっていく。こういうことを行うことことで、前回に比べて、例えば交通機関でも1日から2日、10日とかですね、短かくし、道路の開通までも1週間程度早くする、ことも行えたと考えています。
ただ、遠くから除雪を呼ぶことについては、お金が余分にかかるのじゃないか、市や町からも当時懸念が示されたところです。その点も事前に話し合いをして、今回は、そういったところは県の方で、一旦全部受けて、国からいただくことをさせていただいています。更に話合いを続けさせていただき、事前に準備を進めたいと考えています。

➉県・市町が管理する道路について、大雪時のこういった支援も含めた人員配置や雪状況と道路状況の変化に合わせた除雪に関するタイムラインをあらかじめ作成し、国土強靭化地域計画や道路雪対策基本計画に反映すべきと考えますが、所見を伺います。

答(土木部長)
毎年度作成しています福井県道路雪対策基本計画は道路状況に応じた除雪体制や利用者への道路情報の提供など、冬期におけます道路交通を確保するために必要な事項を示した計画です。
今回の大雪時には、これらの計画に加え、市町や各土木事務所に県職員を派遣し、リアルタイムな情報や市町の課題を的確に把握することで、交差点の除排雪や排雪場所へのアクセス道路の優先除雪、また、除雪車両の応援の調整を図るなど、市町を含めた、より効率的な除雪につなげられました。
今後もこうした取組みについて、計画的かつ速やかに実行できるよう、来年度の福井県道路雪対策基本計画等に反映していきたいと考えています。



(3)公共交通機関の除雪対策

 公共交通機関の運休は、通学・通勤者や通院など県民生活に多大な影響を与えるだけでなく、自家用車利用が増える原因にもなり、これが渋滞を引き起こし除雪の支障となりえます。
バス路線について見ると、3年前の路線に加え地域バスやデマンドバス、コミュニティバスなどの路線が増えている上、県と市町、さらに同じ自治体間でも道路管理者と交通政策部局との連携が弱く、市道のバス路線の除雪優先度が低くなっていました。
⑾ そこで、バス路線については、管理権限区分でなく、市町と連携して除雪優先度を上げると共に、雪害時はバス事業者、及び鉄道事業者を冬期道路情報連絡室の臨時会議に参加してもらうなど、より密接な情報共有と協力体制を図るべきと考えますが、所見を伺います。

答(土木部長)
平成30年の大雪を受けて、県・市町の関係部局やバスおよび鉄道事業者と検証会議を開催し、特にバス路線については、病院周辺の路線や、鉄道で代替できない路線を最重点除雪路線と指定して、公共交通機関の除雪体制を整えました。
今回の大雪では、指定した路線に加え、直接バス事業者から具体的に除雪が必要な箇所を聞き取りながら市町と連携して優先除雪を行い、1日も早くバス路線が確保されるよう努めてきました。
また、先月末からは改めて関係者からなる検証会議を土木事務所ごとに開催し、優先除雪が必要なバス路線や、踏切の除雪協力体制、降雪時の情報共有方法等について再確認をしてきました。
 今後とも、降雪時におけますバス路線の確保等に向け、関係機関との連携強化を図っていきます。



(更問)バス路線の除雪について、今回災害対策本部会議で知事が指示をして進んでいったと認識しているが、それでも県道や市道を超えて除雪を進めていく必要があり、県がイニシアチブを持ってさらに踏み込んだ対応を取れないか。

答(知事)【実答弁】
除雪については、今回も悩んだところでありますし、県道と市道、基本的には責任者がいるので、柔軟にお互いに応援しながらやっていく。その上でやはり、県としてイニシアチブを発揮する点においては、それは県道であろうと市道であろうと県でいろいろ市町とご相談もしながら除雪を急ぐ。といったことをやっていきたい。



(4)県民への情報周知

 道路除雪の状況について、関係市町と連携し、ふくい防災アプリ等を活用し、リアルタイムで除雪状況や予定、遅れている理由などを発信することで、県民の混乱を防ぎ、より冷静かつ計画的な行動につながっていくと考えます。
また、県の「不要不急の外出の自粛」の要請について、出勤を控えるよう社員に呼びかけた会社もあったと聞いていますが、多くの会社は、出勤自粛を促すほどの事態と捉えていなかったようであり、その緊急度、重要度をどう知らせるかということも検討が必要です。
⑿そこで、「不要不急」という自己判断の認識で行動の差が出てしまう呼びかけでなく、大雪時の具体的な「マイカー自粛」「テレワーク実施」要請など、直接的でわかりやすい、県民行動につながるような事項を予め設定・周知することも必要と考えますが、知事の所見を伺います。

答(安全環境部長)
 今回の大雪では、新聞、テレビ、SNS等様々な媒体を使い、また、市町の防災行政無線等も活用して、外出自粛やテレワークの実施などを繰り返し県民、事業者の方に呼びかけました。
その結果、これは福井商工会議所の調査によると、3連休明けの1月12日、約7割の企業において出勤の見合わせとかテレワーク、時差出勤の協力をいただきました。県の働きかけとしては一定の効果があったと考えています。
県民の皆様への要請については、これは気象の状況ですとか道路除雪の状況など様々でので、一律に客観的な条件を設けるよりも、柔軟に対応していくことが必要と考えています。気象台等の意見を踏まえまして、県民の皆様の具体的な行動につながるよう、工夫しながらきめ細かな周知に努めていきたいと考えています。