市議会の記録

◎市民文化センター


【平成29年9月議会】

3番(北川博規君)

 次に、敦賀市立文化センター、この指定管理について質問させていただこうと思います。
 今議会に、第56号議案として敦賀市民文化センター設置及び管理に関する条例の一部改正の件が上げられています。市長提案理由の中で、市民文化センターの運営については、民間のノウハウを活用した指定管理者制度を導入することが最も効果的であると考え、今回、関係条例案を提出したと述べられています。さらに、今後は音楽や演劇等の舞台芸術に触れる機会を拡充することで本市の文化振興につなげていきますと締めくくられた言葉は、市民にとって大変うれしく、勇気づけられるものでもあります。
 ここでは、その言葉に至る幾つかの点で質問させていただきます。
 議員説明会の中でも、市民文化センターのこれまでの集客数の減少、稼働率の低下の実態が示されました。そのときに、その原因を市教委として、また行政としてどのように分析、評価を行っているのか、そんな質問が多くの議員から出されたと思います。その結果についてお伺いします。

教育委員会事務局長(池田啓子君)

 それでは、北川議員さんの御質問にお答えいたします。
 市民文化センターは、市制40周年を記念して、昭和52年に市民の文化の向上と福祉の増進を図るために建設され、市民が文化に身近に触れる機会を提供してきた施設でございます。
 しかし、平成11年からの大規模改修に伴い、市民文化センターで行われていた行事のうち、例えば成人式、戦没者慰霊式などの式典や各種団体の年次総会などが開催場所を変えて開催されるようになったこと、舞台規模が小さいほうが使い勝手のよいコンサートなどがほかの施設に移るなど、事業の内容や性質に応じて施設を使い分けて実施されるようになったことがまずは大きな要因であると分析しています。
 また興行の面では、民間の企業等が主催する事業の数が徐々に減少したことが要因であると考えております。
 いずれにいたしましても、平成10年度には大ホールの使用件数が250件余りであったものが平成28年度には70件にまで減少したことは大きな課題であると考えております。
 市民の皆様の財産である公共施設をしっかりと活用したいという点で、今後は指定管理者制度を導入することにより一層の市民文化の醸成に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 以上です。

3番(北川博規君)

 私も、この減少がどういう理由づけで起こってきたのかな。今お話しいただいた事柄、それを分析するためには、文化センターが設立されてからこれまでのそこで開催された事業、これがきちっと分析されていく必要があるということで、それを求めましたけれども、その資料が一切残っていない。それはどいうふうに説明していただければよろしいんですか。

教育委員会事務局長(池田啓子君)

 お答えいたします。
 利用状況でありますとか利用申請の書類のことだというふうに考えておりますが、敦賀市教育委員会の文書規程の中では、主管課長は、保存期間の経過した完結文書を市長部局の担当課長に合議をし廃棄をするというふうに定められております。
 市民文化センターの使用許可書及び利用状況につきましては、3年という保存年限が定められているところでございます。分析に当たりましては、現存している文書、それからその他の資料を用いて、わかる範囲で、利用数などにつきましては教育要覧、そういったところからも拾えましたので、それから広報つるが、そして関係課への聞き取り、そういったことを含めて分析をさせていただいたところでございます。

3番(北川博規君)

 そもそもやはり文化施設、特に文化センターというそういうところにとっては、今までどんな足跡を残してきたのかというのは宝だと思うんです。それが3年で廃棄されていく。ここにそもそも文化センターというものの位置づけが余りにも軽い、そんな思いを強く持ちます。
 その評価結果、それをもとにして、それを改善し、稼働率とか集客数を上げていく。そのための指定管理という結論に至ったと思うんですけれども、その経緯、これをもう少し詳しくお願いします。

教育委員会事務局長(池田啓子君)

 先ほども答弁いたしましたが、文化センターの稼働率、集客数を向上させるためには、やはり大ホールの使用目的に合った使用件数を増加させるといったことが最も重要な課題であると認識しております。
 大ホールの使用件数を増加させるには興行面での充実を図ることが必要であると考え、みずから事業を企画、運営できる専門的な能力を持った事業者に事業の実施と施設の管理を一体的に展開していただくということが最も効果的であると考え、指定管理者制度を導入するという結論に至りました。
 以上でございます。

3番(北川博規君)

 財政面、企画面、運営面、ここに新しいノウハウを取り入れていく。これは大事なことだと思うんです。指定管理をやることによって、そういうことが改善されていくという見通しがある。つまり興行面、専門的な能力を持つ、そういう業者が恐らく出てくるだろうという、そういう見通しですよね。

教育委員会事務局長(池田啓子君)

 教育委員会といたしましては、指定管理者選定に当たっては全国へ公募ということを考えております。ですから、現時点で私たちに何か特別な候補者とか想定があるというわけではございませんが、全国へ向けて広く公募をかけていくという中で、これは希望的なところもあるんですけれども、こういった私たちが望んでいるノウハウを持った事業者にぜひ応募していただきたいというのが今の率直な考えでございます。
 以上でございます。

3番(北川博規君)

 今回改正される条例の第18条、これが大変肝になる部分だと思うんですけれども、指定管理者が行う業務として3つ示されています。1に施設、設備の維持管理。2に利用許可、調整。この2つは今現在、文化センター事務局が十分に担ってくれています。
 問題は、3、教育委員会が必要と認める業務、この部分だと思うんです。その中身、その具体的な内容は指定管理者の募集要項に示すというお答えだったと思います。一番大切な部分が大変曖昧なまま残っています。条例を通していくためには、その部分が大変不安です。ぜひその具体的な内容をお聞きしたいと思います。

教育委員会事務局長(池田啓子君)

 条例第18条の条文は、施設管理の原則的な内容にとどめておりまして、ソフト事業に該当する(3)の業務については、指定管理者の自由な発想を具現化できるよう柔軟性を持たせることも必要と考え、指定管理者の募集要項等に提案形式で盛り込みたいと考えております。
 そして、教育委員会が必要と認める事業の内容といたしましては、1つ目、市民の芸術文化活動の発表、創造活動のための場の提供、2つ目、市民に対する演劇、音楽その他芸術文化の鑑賞機会の提供、3つ目、市民の集会や講演会利用への施設の提供、4つ目、市民の芸術文化活動への協力、支援、5つ目、指定管理者みずからが企画、実演する事業の実施、6つ目といたしまして、その他施設の利用促進に必要な業務という6点を盛り込む予定をしております。
 以上でございます。

3番(北川博規君)

 こうやって条例を提案するときには、その部分、肝になる部分はきちっと示していく必要があると思うんです。それがないままそれを判断しなさいというのは大変無理のある話かなと。
 ただ、今の6つ挙げていただいたその中に足らない部分があると思うんです。それは、育成するという。いろんな講座、いろんな啓発を行って、市民、そして子供たちの育成を図っていく、そういう事業が抜けているんじゃないか。それもぜひ入れていただくということは大事なことじゃないかなと思っています。
 次に、指定管理を行っている文化施設が県内にも幾つかありますけれども、その指定管理の状態については把握されているんだと思います。その予算額。本市の場合は指定管理料をどれぐらい見積もっていかれるのか。その部分をお伺いします。

教育委員会事務局長(池田啓子君)

 県内他市の文化施設等の指定管理料で、当初予算に計上され公開されている平成29年度の予算額でお答えいたします。
 福井市の福井市文化会館では7038万3000円、越前市は越前市文化センターで、ここは1億920万円、鯖江市の鯖江市文化センターでは5600万円がそれぞれの予算に計上されています。
 また、本市の文化センターの指定管理料につきましては、申請団体の提案に基づき、予算の範囲内で今後決定することを考えております。
 積算に当たりましては、現在直営で行っている市民文化センターの管理運営費と人件費の合計額をまず参考にしたいと考えております。平成25年度から27年度の3カ年の平均の決算額としては、おおよそ5000万円程度となっております。人件費と管理運営費といったこれらの経常経費に加えて、興行を企画し実施するために必要な経費を加算した額を指定管理料として考えています。
 以上でございます。

3番(北川博規君)

 そこが知りたいんですよ。5000万という市民文化センター費、その中の大半が人件費と運営管理費なんですよね。600万だけが文芸協会という形に委託されて、自主事業、それから先ほど述べた1から6までのそこに使われている予算だと思うんですね。
 先ほど予算の範囲内でという、この部分、これはどれぐらい見積もっておられるのですか。

教育委員会事務局長(池田啓子君)

 予算の範囲内というのは、来年度のこのことが決定していきますと予算を計上させていくという、その予算の範囲内ということでございまして、もう一度申し上げますが、経常経費が今現在、実績として5000万円ございますので、現時点で教育委員会といたしましては、これプラス指定管理者が行う興行を企画し実施するための経費、それから市民の文化を育成する、そういったところに係る経費、そういったことを指定管理料として考えているところでございます。
 ただし、市民育成の部分につきましては、指定管理料に含めるかどうかということは今後もう少ししっかりと検討していきたいというふうに考えています。
 以上でございます。

3番(北川博規君)

 ただ、指定管理者が提案してきます。その金額が膨大なものだったとしても、上限というのは当然出てくるわけですよね。その上限というのはどれぐらいなのかというのをお聞きしているんですけれども。

教育委員会事務局長(池田啓子君)

 指定管理選定委員会の中で、そういったいろいろな応募された方の提案というのを鑑み、そして先ほど申しました県内他市町類似施設の指定管理の状況、そういったことも総合的に考え、そして指定管理料というのを決定していきたいというふうに考えていますが、例えば7000万、8000万、そういった試算は今現在はいたしておりません。
 以上でございます。

3番(北川博規君)

 大変曖昧な状態だと思います。これから、これまで費用対効果という面から開催されてこなかったよりよい舞台芸術が市民に提供されていくという期待は大きいんですけれども、大規模な修繕、改修に充てられてくる費用も当然出てくる可能性があります。何よりも重要な自主事業予算をどのように見積もっていくのか。これは大変大きな問題だと思うんですね。それが示されないまま何とかなりますよと。それはちょっと難しいかなと。
 評価、分析、先ほどデータが何となく中途半端だと。そして大事な3項目めの肝になる部分も文面として示されていなかった。そして予算もまだ見通しが曖昧だという、そんな内容の中で、大変それは説明不足であって、リスクの高い条例改正になるんじゃないかなと思いますけれども、いかがですか。

教育委員会事務局長(池田啓子君)

 教育委員会といたしましては、指定管理料というのはこのぐらいかなということはこれまで検討はしてまいりましたが、まずは指定管理者へ応募していただく方の提案、そちらを見させていただいて、それから予算要求、そして指定管理者の決定の議案、そういった流れを今後乗り越えていかなければならないんですが、指定管理者選定委員会に応募される方々のまずは提案をしっかりと確認し、その中で決めていきたいというふうに今の時点では考えています。
 以上です。

3番(北川博規君)

 ということは、募集する段階で上限のラインはないと。その中でいろんな企画を出しなさいという、そういう形での指定管理の募集なんですね。

教育委員会事務局長(池田啓子君)

 金額についてはお示ししない予定をしておりますが、年間、大ホールでの興行を必ず4回はする、そういった事業の縛りの中で必要な条件をお示ししていきますので、それに幾ら費用が必要であるか、指定管理者のほうからその提案を見せていただきたい、そういうふうに考えています。
 以上です。

3番(北川博規君)

 大変難しいと思いますよ。大ホールにオーケストラを4回呼んだら2000万、3000万かかってくるわけですよね。身近な京都交響楽団でも300万かかってくる。泊まりはできない。夜はできない。その縛りを設けない中で、提案してください。それをもとに判定します。大変難しい部分が残っているんじゃないかなと思います。
 先へ行きますけれども。
 気がかりなのは文芸協会の位置づけです。6月議会の質問の中でも本市の文化事業のあり方について述べさせていただきました。その中で、これまで文芸協会が市の文化醸成に大きな役割を担ってきたのは周知のことです。
 改めて、文芸協会が培ってきた役割についてどのような評価をされてきたのか。また今後、文芸協会はどのような形になっていくのか、お伺いします。

教育委員会事務局長(池田啓子君)

 お答えいたします。
 文芸協会は、文化センター開館当初より市民に良質な舞台芸術に触れる機会の提供や人材の育成支援などに取り組んでいただいたところであり、舞台芸術分野を中心に、本市の文化振興に大きな役割を担っていただいているということを感謝しております。
 そして今後の文芸協会はどうなっていくのかということでございますが、今回、市民文化センターに指定管理者制度が導入された後には、館の管理、それから興行、そういった文化事業について一体的に行っていただくというふうに考えておりますので、文芸協会さんにつきましては、6月議会でも申し上げましたとおり現在の形で、事業費と、それから事務局費という形で補助金は交付することは来年度からはしないということは今年度の総会の場で文芸協会さんには申し上げたところでございます。
 文芸協会さんは今後どうされるのかということにつきましては、文芸協会さんは任意団体でございますので、今後の活動についての判断はこちらから決定するということはできないというふうには考えておりますが、これまで市の文化行政に多大なる御協力をいただいてきた団体でございますので、しっかりと協議させていただき、そして今後どのようにされるかというところは一緒に考えていきたいということを考えています。
 以上でございます。

3番(北川博規君)

 文芸協会のホームページの冒頭にコンセプトが掲げられています。「ぽーとあい」という名称になっていますけれども。「“文化は、人を創り街を創るコミュニケーションの礎である”というスローガンのもと、プロが主体となって創る質の高い、観客と演者が一体となれるようなステージを提供し、街を元気にしたいと考える組織です。」、こう掲げられているんですね。
 だから、市の求めている、市長の最初の提案理由の中にあったそれと一緒なんですよ。だから、もしも先ほどから述べていただいているそのあたりの内容が市民にそれを担保するために指定管理が最もふさわしいんだ、そういうことになれば、文芸協会さんは自分たちのコンセプトを生かすことにつながってくるという面で、またいろんな考え方はあると思うんです。
 ただ、はっきりしておきたいことは幾つかあります。集客率の低下とか利用率の低下、これは文芸協会の責任ではない。そのように考えますけれども、いかがですか。

教育委員会事務局長(池田啓子君)

 市民文化センターの使用件数や使用者の減少は、先ほどお答えいたしましたような点に原因があると考えておりまして、文芸協会さんがその原因であるということは考えていません。文芸協会さんにおかれましては、本市の文化振興に大きな貢献をしていただいているものと考えています。
 以上でございます。

3番(北川博規君)

 私も文芸協会の責任は全くないと思っています。
 逆に、この数年間、毎年毎年100万ずつ予算を減らされている中で集客数2000人という目標を常に維持してきた。こっちの功績のほうがはるかに大きい。そんなように感じています。特に、ぽーとあいを通して市内全体の文化、いろんなイベント情報を発信してくださっているという、そういう面での功績も大きい。そのように感じます。
 説明会の中でもっと気がかりだったのは、スケジュールの中で次年度の10月から指定管理がスタートするとするならば、4月から10月まで、これまで文芸協会が担ってきた活動をどこが行っていくのかということですけれども、それについてはいかがですか。

教育委員会事務局長(池田啓子君)

 平成30年度の事業につきましては、指定管理者が市民文化センターの管理を行うまでの準備期間というものが生じますので、市民の方が企画する事業の支援は教育委員会で行いたいと考えています。
 そして平成31年度以降は、市民の方々が企画される事業をどのような形で支援するのかということについて、決定した指定管理者とともに協議してまいりたいと考えています。
 以上でございます。

3番(北川博規君)

 市教委が行っていくという、これ厳しいと思いますよ。それぞれいろんな大きな課題を抱え、事業を抱え、その中でさらにこれをやっていこうと。それだけの時間と人手、人材、それが本当に確保できるのか大変不安な部分が残ります。
 いずれにしても、音楽や演劇などの舞台芸術に触れる機会を拡充することで本市の文化振興につないでいく。そして文化の薫りにあふれた敦賀市をつくり上げるために、いろんな角度から現状を分析し改善していく姿勢と予算面の覚悟、これが求められるのは間違いないんです。
 市長の考えを伺います。

市長(渕上隆信君)

 平成28年3月に定めた敦賀市教育大綱の基本方針の一つに文化の振興・支援を掲げ、文化意識の向上と市民文化の活動拠点の整備・拡充を基本施策に盛り込んでいます。
 文化センターに指定管理者を導入することによって、施設を多くの方に御利用いただくとともに、市民の皆様が文化芸術に触れる機会を拡充していきたいと考えております。
 以上です。

3番(北川博規君)

 はっきりしておきたいのは、集客数の減少、利用率の低下、この根っこにある原因は何なのかということです。文化センターを初め、文化施設に自主事業を行うことを想定した予算をつけてこなかった。さらに述べるならば、音楽や演劇など舞台芸術に触れる機会を拡充することで云々という、そういう文化施策が弱かったということにあるのだと感じます。
 その大きな反省に立って、それを改善するために、民間のノウハウを取り入れ、指定管理を導入していこうということになっている。そういう想定になっている。そういうことでよろしいんですね。最後の確認をさせていただきます。

教育委員会事務局長(池田啓子君)

 そのとおりでございまして、これまでは市のほうでは直営の貸し館のみを行ってきて、事業については文芸協会に全てお任せしていたという、そういった経緯の中で、今後は指定管理者にそれを一体的に展開していただきたいということで、文化施策を強めていくためにこういったことを取り入れていくという方針でございます。
 以上でございます。

3番(北川博規君)

 それならば、それをきちっと説明するだけの資料、先ほど言った予算も含め、業務内容も含め、その担保する資料が示されないと、条例だけがひとり歩きして指定管理が決まりました。それはちょっとおかしいんじゃないかということを述べさせていただいて、次の質問に移らせていただきます。