一般質問の概要

県議会の記録

一般質問を終え、理事者答弁内容も含めた記録です。

1 生活困窮者の現状と支援策
 
 いろいろな視点から、新型コロナウイルスによって逼迫した生活の現状を私たちに訴えてきます。新型コロナウイルスの影響を受けて、収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯は急激に増加しているのは明らかです。
国や県の支援策では、ほとんどが企業や事業者向けのものとなっているのが現実です。
しかし、今、大切なのは、個人やフリーランスの皆さんへの生活支援だと考えます。

(1)2月2日には、、緊急小口資金貸付と合わせて、最大200万の生活資金が無利子で貸付けられることになり、償還免除の要件が拡大されて住民税非課税世帯が免除となりました。
免除になったことは、見方を変えれば、給付措置であるとも考えられます。となると、公平性の面から、2つの課題が見えてきます。
 1つは、同じような生活困窮の中にありながら、申請していない皆さんに対しても、しっかりとした制度の案内をすべきだということです。
 2つめは、生活上必要だから貸付けを受け、しかも、償還しなければならないであろうみなさんに対しての支援策です。

➀ 貸付申請をしていない非課税世帯へのアウトリーチの強化と償還免除にならない課税世帯への支援が必要と考えますが、これら2点について、知事の所見を伺います。

答(知 事)
 県としても市や町と十分に連絡を取りながら、民生委員さんに訪問していただくような形でアウトリーチもしっかりと強化していき、まずは住民の皆さんに受ける権利がある、受けられる状況を周知していきたい。
そのうえで、今度は課税になるという事は、丁寧に、しっかりと状況を見ながら進めたい。


(2)市民活動の取組み、特に「子ども食堂」をとり上げたいと思います。今、核家族化に加え、近所との人間関係も希薄になる中、貧困は周りに見えづらくなっています。その意味でも、子どもたちや高齢者に寄り添う場でもある「子ども食堂」の存在は大きなものがあります。今こそ、「子ども食堂」の存在と活動が必要なのだと思います。
 本県でも、子ども食堂等で、フードドライブやフードパントリーの活動が進められています。新型コロナウイルスの影響で、子どもたちを食事で支援する「子ども食堂」の自粛が続く中、食料を配ったり、弁当を無料や安価で販売する活動が脚光を浴びています。
 厚生労働省は、子ども食堂の様々な地域ネットワークを総動員し、支援ニーズの高い子ども等を見守り必要な支援につなげる「支援対象児童等見守り強化事業」を進めています。
実施主体は市町であるものの、国の補助率は10/10で、とても貴重な事業です。

➁ 本県では現時点で6市町のみの実施となっていますが、現在までどのように市町に対する啓発がなされてきたのでしょうか。また、事業を実施する上での障害は何なのか伺うとともに、今後の手立てを伺います。

答(健康福祉部長)
 国の事業ではごありますが、各市町に利用を促しており、今年度は6市町において、子ども食堂とか社会福祉協議会とどこか、地域の実情に合わせた団体に委託をされて実施されているという状況である。
今回、実施をしていない市町にその理由なども尋ねているが、すでにそういう体制ができていて新たな事業を行う必要性がないとか、委託する適当な団体がないというようなご回答であった。
市町の担当者を集め、実施している市町の実例も紹介し、機会を設け、引き続き市町で制度が活用されるように働きかけを行っている。今新たに2つの市町がこの事業を活用するというふうに伺っており、今後も進めていきたいと思う。


(3)子ども食堂は基本的にボランティアベースのため、運営費の確保が難しいのが現状で、一般的なこども食堂では、料金設定を無料〜300円程度としており、食材などはフードバンクや地域住民の寄付などで賄っています。活動資金については、子ども食堂を運営している人々の「持ち出し」で準備している状況です。行政からの助成金などの支援強化が今こそ必要です。多くの自治体が、いろいろな形で支援に向けて動いている中、福井県での支援がなされていないことがとても残念です。
杉本知事は昨年10月に子ども食堂「青空」を視察され、活動している皆さんは大きな勇気を頂きました。

➂ 視察の中で感じたことは何だったのかを伺うとともに、今こそ、県も一体となってその活動を支えていく体制が必要と考えますが、知事の所見を伺います。

答(知 事)
 昨年の10月私も敦賀へ参りました時に、子ども食堂青空さんを見させていただいた。非常に家庭的な雰囲気つくりに苦心しながら、地域のコミュニティ、交流の場という感じを受けた。
 県内は幸いにして、民間でも援助するような資金もかなりある。
また今、子どもたちの貧困の実態調査ということもさせていただいており、また子ども食堂のネットワークの推進組織のような組織も出来るというふうに伺っているので、どんな実態にあるのか、どんな課題があるのか、よく聞かせていただき、必要な改善点等あれば、もしくは県として、やるべきことがであれば、しっかりと受け止めて、こういった子ども食堂がさらに上手く運営できるような支援の充実に努めていきたい。



2 バリアフリーの取組みと課題について 
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)の一部を改正する法律」が施行されつつありますが、本県の進捗状況について伺いたいと思います。

(1)学校施設のバリアフリー化の状況は自治体によって差があり、文科省は「整備が必ずしも十分とは言えない」として、2025年度までの目標値を設け、自治体への補助率も現行の1/3から1/2に引き上げる方針であるとしています。

➃ 本県の学校施設のバリアフリー化の現状について伺うとともに、「心のバリアフリー」に関する「教育啓発特定事業」の実施状況を伺います。

答(教育長)
学校施設のバリアフリー化につきましては、全国的にも十分に進んでいるとはいえず、本県の小中学校では、校舎における車椅子使用者用トイレの整備率が50%、スロープの設置率は、門から建物までが84%、玄関から体育館等までが60%、エレベーターの設置率が18%という状況です。県としては、市町教育委員会に対して制度改正の内容を周知し、学校のバリアフリー化の推進をお願いしている。
また、心のバリアフリーに関する教育啓発特定事業に当たる取組みとしましては、小中学校においては、共生社会実現に向け、心のバリアフリーについて学ぶ授業等を積極的に推進するよう働きかけていく。 


➄ 本県の市町別のユニバーサルデザイン化の整備状況を伺うとともに、今後の取組みのロードマップ、目標値を伺います。

答(土木部長)
 本県におきましては福井市、敦賀市、鯖江市、あわら市、越前市の5市が対象となるか、議員ご指摘の駅周辺道路の整備率および駅から生活関連施設への到達率につきましては、敦賀市では高い水準となっているものの、各市で大きな開きがある。
ロードマップや目標値を設定している市はないが、現在、北陸新幹線福井・敦賀開業に向けまして、敦賀市など新幹線の駅周辺で歩道の拡幅や段差解消等に取り組んでいるところで、今後とも各市と連携して、道路のユニバーサルデザイン化を着実に推進していきます。


(3)新幹線関連のハード整備や観光促進、街づくり整備の大切さは十分に理解します。ただ、障がい者や高齢者の皆さんが明るく安心して生活できる社会づくりそのものが、最も大切であり、誘客に繋がっていくものであると考えます。
 
➅ そのためにも、新幹線開業に伴い、新幹線駅や駅周辺の施設整備にはユニバーサルデザイン化への対応の際には障がい者の皆さんやその支援団体の声をれからの取組みに生かしていただくことを強く要望します。

答(地域戦略部長)
 新幹線の駅舎およびその周辺施設におけるユニバーサルデザイン化については、国交省が定めます「バリアフリー整備ガイドライン」に基づき、多機能トイレであるとか、車椅子の方向転換が不要な貫通型のエレベーターの整備、そのほか、歩車道境界の段差低減、視覚障がい者誘導用ブロックの設置などを進めている。
また、新幹線の駅舎整備に際しては、鉄道・運輸機構とともに県内の福祉団体との意見交換を行った。
駅周辺の整備についても、ユニバーサルデザインの観点から、障がいのある方はもとより、年齢、性別、国籍などにかかわらず多様な人々が使いやすいデザインとなるように、利用者の声を丁寧にお聞きしながら、駅設置市とともに検討していきます。


(4)新聞報道によると、全都道府県警へのアンケート調査で、2019年度末時点で全国の信号機総数は20万8152基。うち音響機能付きは1割ほどの2万4367基にとどまり、稼働時間を制限しているのが84%(2万445基)を占めたとのことです。

➆ 本県内における音響式信号機の設置・設定状況を伺うとともに、その設置段階でどのように協議が進められてきたのかを伺います。

答(警察本部長)
県においては、県内の交通信号機1,873か所中、音響式信号機は199か所に設置しており、このうち、終日稼働しているものが51箇所で、残りの148箇所については、夜間の横断需要や設置場所の交通状況を踏まえ、個別に運用時間を設定している。
設置等に当たっては、視覚障がい者や関係団体の方々等に設置箇所や運用時間帯等について意見・要望を伺い、視覚障がい者の方の歩行の安全確保に配慮している。


➇ また、本県のこれまでの事故発生の状況を伺うとともに、障がい者や高齢者が安心して横断できるよう、今後どのように進めていくのか、方針を伺います。

答(警察本部長)
 本県においては、平成28年から令和2年までの5年間で、視覚障がい者の方が被害にあう交通事故は発生していない。
今後も、視覚障がい者の方々の意見・要望に真摯に耳を傾け、音響式信号機の新設や運用の見直しなど、利便性や安全性の向上に努めていく。



【再質問】

➈ 本県の生活困窮の実態は、何を基にして、どのように把握されておられるのか。その中で、生活困窮対策については、地域福祉課を中心とする健康福祉部。就業確保を担う産業労働部。なによりも外部機関でもある社会福祉協議会。という幾つかの部局等が関わってきます。今後の対応等を協議するうえで、部局横断の取組みが必要となるのは必至であることを考えると、生活困窮対策室的な機関の設置を求めたいと思いますが、知事の所見を伺います。

答(知 事)
生活困窮対策室というようなある意味特化した専門組織を作っていくということも一つの考え方かと思う。柔軟性も考えながら必要があればそういうことも考えていきたいと思うが、これまでのところは横の連携をさらに密にして進めたい。


(健康福祉部長)
困窮家庭の状況の把握ですが、県と市町窓口様々、ミクロでは把握の情報を交換しながら福祉事務所等で進めている。マクロでは、いわゆる生活福祉資金の貸付の状況とか、その推移を見ながら困窮の状況はどうであるかということについては把握をしている。

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