代表質問の記録4 エネルギー行政について 福祉行政について 教育行政について

県議会の記録

今回は、「4 エネルギー行政について」「5 福祉行政について」「6 教育行政について」 です。
代表質問の記録は、今回で終了となりますが、近日中に、私の所感を含めたものを掲載したいと考えています。

4 エネルギー行政について

(1)美浜地域の広域避難計画

 先月5日、政府の原子力防災会議は、関西電力美浜原発の重大事故に備えた広域避難計画を了承しました。
今回の計画は、事故時に屋内待避などが必要となる、原発から30㎞圏内の住民を対象としたもので、県民約22万7000人、岐阜県・滋賀県の住民を合わせると約28万人が対象となります。これは、大飯原発や高浜原発と比べて3~4倍という大規模なものであり、対象者に対し、避難時の行動を丁寧に説明していくとともに、いかに実効性のある訓練を実施するかが大きな課題となります。
昨年8月に大飯原発周辺で行われた県原子力防災訓練では、コロナ禍における訓練であったこともあり、一時的な屋内避難場所として設定された公民館等において、外気を入れず換気を行うという大きなジレンマを抱えた対応や、密を避けるための避難所のスペース確保などが大きな課題として残されました。
⒄今回策定された計画は、大飯原発の原子力防災訓練の課題がどのように反映されているのか伺うとともに、今後、対象者の規模が大きい美浜原発において、実効性ある訓練をどのように実施していく方針か、知事の所見を伺います。

答(知 事)
 昨年の8月に大飯・高浜発電所を対象とした訓練を行った際には一時避難所、一時集合施設ですとか避難施設において、検温さらには受付の時に列ができて密になる状況もみられたました。
これを踏まえて、美浜地域の広域避難計画の策定に合わせ、昨年の12月に感染症対策ガイドラインの見直しを行い、検温や受付場所を見直す。さらには新たに県有施設を避難所として確保するといった対策も打たせていただいています。
美浜地域におきましては、UPZ圏内の人口が多いということ。外国人の居住者も多い、こういう状況がありますので、避難バスの確保とか渋滞の対策、さらには外国人への情報発信ということがより重要になってくると考えています。
このため、県外での避難先の受入調整や関係機関との連携、といったことも踏まえて、県としては先月の5日の地域原子力防災協議会、国が行っている協議会において、国が中心となって、広域避難計画に基づく訓練を実施するよう求めました。今後ともこうした点について、国に求めていきたいと考えています。



5 福祉行政について

(1)小林化工の医薬品事故

 今回問題となった製品以外においても、長年に渡る複数の違反が明らかになりましたが、人の健康や命に関わる医薬品の信頼を損ねる事態であり、製薬会社としては決してあってはならない事です。
県は9日、これまでの製薬会社に対する業務停止命令としては最長の116日間の業務停止命令と業務改善命令を出しましたが、今後は、こうしたことが二度と起きないよう、企業自身が法令順守の徹底や品質管理体制の強化等に取り組み、信頼回復と再発防止に努めることが必要です。
また、厚生労働省は再発防止に向け、無通告検査の増加など対策強化を求める通知を出しましたが、県としても、これまで何度も行ってきたという立ち入り調査のやり方を見直すなど、不正を見抜く体制を整備することが求められます。
⒅そこで、県の指導・監督体制について、これまで定期的に行われてきた業者への立ち入り調査の課題、再発防止に向けた改善策について、所見を伺います。

答(健康福祉部長)
 これまで行ってきました県の調査については、厚生労働省からも、国の調査要領に沿って「十分かつ精緻に調査が行われている」という評価をいただいています。しかし、この調査要領では、事前通告が原則とされており、あらかじめ別の記録を作成するということを可能としているなど、今回のような不正行為を招くこととなったと考えています。
この事案を受けて、2月9日に、国の方から無通告調査に関する通知がありましたが、その具体的な手法を示すマニュアル等がまだ示されていませんので、整備を求めていきます。
さらに、医薬品の製造・品質管理の専門家の集まりとして、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の合同調査を今回初めて福井県が行いました。非常に役に立つということで、これを拡大していただきたいと現在国の方に提言していきます。
一方で、国の対応を待つことなく、県においても、同様の事案を二度と発生させてはいけませんので、県内10ヶ所、医薬品製造施設がございますが、無通告による立入検査を積極的に実施するなど、直ちに監視指導の強化に取り組んでいきたいと考えています。


(2)災害時における保育園の休園措置

 災害時の臨時休園について、厚生労働省は園児の生命の危険を避けるため、昨年7月に市町に対し災害時の休園基準を策定するよう通達で要請していますが、現状は、公立園においては各市町が状況を見ながらその都度判断し、私園については各園に判断を任せているようです。社会的要請が強い防災・医療関係者等の保育の確保の必要性、さらには休園措置に関する法令がないことや休園時の保育料の返還など、休園に踏み切れない実情があり、臨時休園に関する統一的基準を求める声が多く聞かれております。
⒆そこで、県内市町における災害時の休園基準の策定状況を伺うとともに、自然災害が続発する中、園児や保育士の安全を確保するためにも、臨時休園の県内統一基準の策定、市町を超えた代替保育を行う拠点園の整備など、災害時における保育園のあり方を、県と市町が連携して検討すべきでなはいかと考えますが、所見を伺います。

答(健康福祉部長)
 保育所等の休園基準については、厚生労働省が昨年7月に通知を出して、各市町に対して、防災部局と連携して、地域の実情を踏まえた基準を策定するよう求めています。
県ではこの通知を受けて、市町との担当課長会議を開催しました。意見交換などを行い、働きかけを行っております。その結果、現時点では、4市町で策定が終わっています。さらに、3市が策定中、その他の市町は現在検討中という状況です。
今後は、新年度の早い時期ぐらいに、策定済みの市町の事例とか他県にも先行事例といったものを題材として議論する場を今持ちたいと考えております。県内の全ての市町それから保育所などが災害時に迅速に休園等が判断できる、そういう基準策定を働きかけていきたいと考えています。



6 教育行政について

(1) 小学校における少人数学級の導入

 文部科学省は、公立小学校2年生以上の1学級当たりの上限人数40人を、令和3年度から学年ごとに35人に引き下げ、令和6年度には小学校全学年を35人学級にすると決定しました。
一方、本県では、国に先駆けて平成16年から県独自で少人数学級を実施しており、令和3年度に小6を35人学級にすることで、国より3年前倒しで小学校全学年での35人学級が実現します。
こうした国の制度改正を財源面でとらえると、令和3年度から国による段階的な35人学級の法制化により、それに要する人件費は実質国負担となり、これまで県独自で賄ってきた財源負担は段階的に解消されることとなります。本県はこれまで、子ども達への独自のきめ細かな教育施策を行って来ました。ただ一方で産育休や病休などの代替教員不足が常態化するなど、万全な教育体制が築けていない状況が続いています。
⒇今回の国の少人数学級の導入により、本県の財源負担はどれだけ解消されるのか伺うとともに、その財源を使い教職員の増配置を行って、常態化している産育休や病休の代替教員不足の解消策を講ずべきと考えますが、知事の所見を伺います。

答(教育長)
 令和3年度から、小学校2年生について35人学級が国の制度として導入されますが、本県では、すべて国の加配を活用して実施してきたため、県費の影響はありません。
小学校3年生以上についても、令和4年度以降、段階的に国の制度として35人学級が導入されますが、本県では、これまで国の加配を最大限活用して35人学級を進めてきており、今後、国の制度が完成する令和7年度までには、数人分の県費負担が軽減されると考えています。
なお、茨城県では、35人を超える学級が3クラス以上の場合は、本県と同様、国の加配を活用して学級を増やしてきましたが、2クラス以下の場合は、学級を増やさずに、県単で非常勤を配置してきたため、令和7年度までに約8億円の県費が解消されると聞いております。
産休・育休、病休の代替教員の不足は、財源の不足というよりは、必要な地域に必要な教員免許を持った人材が不足していることが一番の要因であり、今年は特に、定年退職者に対して、フルタイムでの勤務を強く働きかけています。