代表質問の記録1 知事の政治姿勢について

県議会の記録

数回に分けて、代表質問の質問と答弁を掲載いたします。
今回は、知事の政治姿勢についてです。

1 知事の政治姿勢について

(1)令和3年度当初予算
過去最大となった今回の当初予算、また補正予算と一体型編成ということで、難局を乗り切ろうとする知事の姿勢が伝わってきます。予算の主要政策を見ると、観光、交流、産業、定住の分野における新幹線や中部縦貫道の効果の最大限化、子育てや教育、介護に力を入れ、住んでよかった、選んでいただける福井県の実現、さらにはあらゆる分野におけるデジタル化など、そのための重要な施策が盛り込まれています。
一方で、財政運営の視点で見ると、北陸新幹線建設費負担金が419億円であり、敦賀開業、更には大阪延伸にかかる負担も将来的に加わります。

➀ コロナの終息が未だ見通せない中において、中長期的な経済の低迷、税収の落ち込みが県財政に与える影響をどう見ているのか、そのような状況において、高速交通体系の整備、観光や産業の活性化、県民の生活の質の向上について、どのような決意を持って今回の予算を編成したのか、知事の所見を伺います。

答(知 事)
 新年度の予算につきましては、県税収入等の財源が116億円落ち込むという状況の中ですが、最終的には国において一般財源総額が維持されるということで、地方交付税などが持ち上げられて、全体としてはお示ししている「財政収支見通し」にあるように、「行財政改革アクションプラン」に掲げた目標は維持できる状況にあります。
新年度予算の内容については、「長期ビジョン」による本格的な県政運営のスタートということで、企業誘致の中でもとくに量から質へというようなことを盛り込んだり、ベンチャー企業を育てること、または子育ても「ふく育」というような活動を始めていくということで、3人目、2人目、さらに1人目からも応援をしていくようなことも取り込ませています。さらには、「長期ビジョンによる新時代の創造」、「新型コロナに打ち克つ社会経済の実現」、「安心・安全対策の充実」など、躊躇なく進めていきたいと考えています。今後とも、中長期的な財政運営の健全性を維持しながら、積極的な財政を行っていきたいと考えています。


 迅速な予算措置を講じるという観点から、クラスター防止協力金、福井県版持続化給付金などのコロナ対策が2月補正予算案に計上されています。
また、福井県版持続化給付金については、国の制度の再執行を望む事業者が多い中で、福井県版の制度創設は大変評価できます。ただ、事業規模に関係なく一律に10万円とする支給額については、規模に応じた複数設定による、より手厚い支援を求める声もあがっています。

➁これらの事業について、対象や条件など制度の概要を伺うとともに、福井県版持続化給付金はコロナ禍で厳しい経営状況が続く県内事業者へのどういった効果が期待されるのか、所見を伺います。

答(産業労働部長)
 コロナ禍において、企業の令和2年の事業収入は、国の給付金、県の応援金等を受給、加算しても、約7割以上の企業において減少しているという試算をしています。
このため、県版持続化給付金においては、限られた財源の中でできるだけ多くの事業者を支援することとして、国の持続化給付金の受給資格を有した事業者等を対象に「令和元年と比べて1割以上の売上(事業収入)の減少」を要件としました。
給付額につきましては、10万円として、今後も厳しい経営状況が続くと予想される中、事業者の皆様に事業継続の意欲をぜひ継続していただけるよう、制度融資等も活用していただきながら、県版持続化給付金による支援を行っていきたいと考えています。
なお、クラスター防止協力金につきましては、業種は限定していませんで、県の求めに応じまして、施設名の公表や積極的なPCR検査にご協力いただいた場合に支給することとしています。


(2)使用済み燃料の中間貯蔵施設と40年超原発再稼動
 知事は「県議会で議論するなど、今後の対応を十分に検討していく」と回答し、その後報道機関に対して、一歩前進した、再稼働の議論に入る前提はクリアしたと発言しています。
しかしながら、青森県、むつ市の理解が得られていない、反発されている状況です。今回の関西電力の対応は、候補地を2023年末に確定するという言葉だけのものであり、一歩前進ではなく、事実上、計画地点の提示が2023年に先送りされた、後退したというのが県民の受け止めではないでしょうか。
こういった状況の中での議論に入る前提はクリアしたという知事の発言は、これまでの知事の方針から一転しズレが生じただけでなく、今回は、知事と県民との約束が反故にされたという強い認識を持たざるを得ません。これまでの知事の姿勢に沿うならば、計画地点の確定に不退転の決意で臨み、確定させた後に再稼動の議論を、というのが県民に理解される対応ではないかと考えます。
③中間貯蔵施設の計画地提示の約束を1度ならず2度も反故にし、今回は最大3
年先延ばしになるという状況について、知事の求める事業者の信頼回復は進ん
でいると考えるのか、所見を伺います。

答(知 事)
 従前から私が申し上げているのは、新しい議論に入る前提条件として、中間貯蔵施設の計画地点の確定に先立って、計画地点の提示を行うことです。
これに対しまして関西電力は、今回、中間貯蔵施設について「むつの共同利用への参画を希望する」という考えを示して、初めて具体的な候補地を示したところで、一定の回答を得たと考えます。
その上で、さらに国も、地元において必ずしも賛成が得られていないという状況を踏まえ、国が政策当事者としてこれから地元の理解に全力を尽くすというお話がありました。
さらには関西電力からも、計画地点の確定期限ということについて、これまでから一歩踏み込んで、2023年末までに確定をするという発言もありました。さらにそれを担保する形で、それまでに確定ができない場合には、今回議論になっている、これは別の話としてですが、40年超運転の対象となっている3つの原子力発電所は、その後は運転をしないという覚悟も述べられました。
そういう意味で、私は、従前から申し上げている前提条件となる計画地点の確定に先立つ提示については、一定の前進があったと申し上げています。いずれにしましても、関西電力においては、今後とも、2023年末よりも早く、一日も早く、しっかりと対応を行って、国と一体となって最大限の努力をして、県民の信頼回復に努めなければならないと考えています。


➂また、今回の報告は計画地点の提示ではなく、この報告を知事が評価し議論を進めることは、「計画地の年内提示は、全ての条件に先んじる」というこれまでの方針との整合性がとれないと考えますが、所見を伺います。

答(知 事)
私といたしましては、新しい課題の議論を行う前提については満たしたと考えておりまして、今回の関西電力の報告とこれまで申し上げていたこととの整合性は取れていると考えているところでございます。


(更問) 計画地点の提示について、知事が一定の回答があった、あるいは整合性が取れていると考えるのは、シンプルに、県民向けに、議会向けに説明いただくと、どういう説明になるのか。

答(知 事)
 先ほども申し上げましが、これまでも私が申し上げていたのは、計画地点の確定に先立って、地点の提示を行うということをまず早く行うべきということで、これまでも2018年、2020年と期限を区切りながらやってきた。これに対して、むつ中間貯蔵施設の検討に参画したいという提案がされた。さらにそれ以外の地域についてもこれからも検討していきたい。こういうお話があったというところが、私が申し上げている一定の回答があったという点です。その他に、2023年末までの確定、それについての担保、これらの説明もあったということを全体として考えて、前提条件は満たされたと申し上げているというところです。


➃知事が再稼働の前提として、国や事業者に求めている条件がどの程度進展しているのか、その評価を伺います。

答(知 事)
 国に対しては、まず関西電力のコンプライアンス、これに対して業務改善の監視、監督、原子力の重要性に対する県民・国民に対する説明、原子力政策の方向性の明確化、立地地域の振興について、これまで求めてきています。
業務改善計画の進捗の確認も、国としてこれまで行ってきており、また立地地域等への説明も順次開催をされているというところです。
一方で、消費地を含めた県民・国民に対する丁寧な説明ですとか、原子力発電の将来像、それの提示、それから電源三法交付金の充実など、さらなる対応が必要と考えていますので、その辺については今後ともしっかりと確認をしていきたいと思っています。
また、関西電力に対しては、地元目線の業務改善の実行、安全対策の徹底、新しい形での立地地域との共生、こういうことを求めているところで、コンプライアンス研修とか、地元企業への発注の拡大、こういったことが徐々に行われているところですけれども、引き続き消費地における理解の活動、地元企業の育成、などの実績を積み上げるようしっかりと注視をしていきたいと考えています。


(3)北陸新幹線の開業延期の影響

 先の12月議会で大きな議論となりました。我が会派は、事業費増嵩に伴う地元負担ゼロを目指した国の責任ある対応、監視・推進体制の具体的改善策の提示、さらには、新幹線整備の進捗やまちづくり支援に関する大臣直属の機関設置などを求めました。
閉会日には、国等に求める5項目の要望を県議会として決議し、知事、議会が一体となって取り組んでいるわけですが、今回の事態を引き起こした、最大の問題は責任ある推進・監督体制の欠如です。
鉄道・運輸機構は、引責辞任した理事長を公募するとともに、機構の大阪支社を廃止し、北陸新幹線建設局を福井市に設置する方針を示しました。また、国交省においては、鉄道局に監理監督室が設置され、これまでに、県も構成員となる、工程・事業費の管理や並行在来線会社への影響を軽減するための会議体が設置されるなど進展も見られます。

➄そこで、国の鉄道局監理監督室の組織体系・権限は妥当で監視体制は機能するのか、機構の組織体制は強化されたのかなど、これまでの国や機構の組織体制の見直し方針についてどのように評価しているのか、知事の所見を伺います。

答(知 事)
 国においては、昨年の12月に、国交省の鉄道局内に局長をトップとします鉄道・運輸機構監理監督室を設けまして、これから月に1回程度、ヒアリング等を機構から行っていくと、伺っています。
これにより、工事の進捗と予算の執行について、全体として管理・監督ができる体制が、一応できたと考えています。
また、北陸新幹線建設局も、工事を行う地域、この現場に近いところに設置をすると言われていまして、現場の情報が迅速かつ正確に本社に伝わる体制が整ってきていると考えています。
今後については、この改革を改革の第一歩として位置づけて、絵に描いた餅にならないように、今後とも、事業費、それから工事の進捗について、監視・監督、をしていただきたいと考えています。


 県としては、こういった会議体への参加・働きかけを通じて、更なる工事遅延がないよう厳しく確認していくとともに、地方負担の更なる削減策、まちづくりへの支援策等の具体策を引き出すことが必要です。
国は、まちづくりへの支援に関し、関係地方自治体等の要望を踏まえつつ、国土交通省を挙げて対応するとし、「駅周辺のインフラ整備に関する連絡会議」を設ける方針を示しています。
➅そこで、県が調査するとしていた開業遅延に伴うまちづくり等に関する経済的な影響について、現時点でどのように把握し、国にはどういった事項を要望する方針か、知事の所見を伺います。

答(知 事)
 開業の遅延に伴うまちづくりへの影響については、まずハード面については、国交省において、例えば道路とか、道の駅、こういったものの整備の事業についてリストアップを行っており、今月から自治体との協議を開始しています。これらの事業の採択、進捗が図られるよう、県としても務めてまいります。
また、ソフト面については、昨年、県でも影響調査を行いましたが、駅周辺の整備の遅れに伴って、期待収益が減少するとか、テナントの出店の辞退とか、イベントの遅延、こういった影響を懸念する声が多かったところです。
影響の軽減に向けて、国に対して支援の内容を詳細に調査を行っているところです。今後、誘客のイベントとか、ソフト事業への支援について、対応を求めてまいります。