2月議会 一般質問を振り返って

県議会の記録

2月議会の一般質問を振り返っておきます。

1つ目の質問は、救命救急についてでした。

 自分自身が救命いただいた世界です。市立敦賀病院の救急体制強化に繋がっていくことを願います。その答弁の中で、救命救急の指定された距離が示されました。国の財政措置には、「拠点病院」とあります。何かすっきりしないものがあります。ここでは、地図上の医療圏の広さ、そして、各拠点病院から救命救急センターまでの時間と距離を示しものを資料として提示し、距離的な配置に於いての医療圏の矛盾と公平性について指摘しました。
とにかく、市立敦賀病院の救急に人的な厚みを求めたいと思いからの質問です。

1 救命救急において、地域間での医療の公平性が担保されているのか

知事答弁骨子
 ご指摘のとおり、どうしても物理の問題、距離の問題、それから実際に配置できる医師の数、それから費用としてそれだけの機能を持つ病院をいくつ置けるか、どうしても限界のある中で、いかにして公平性を担保するか、もしくは県民の皆さんの安心な生活を守っていくのか、救急医療をどう手当てしていくのか、こういったことの現実の課題に直面することだと思っております。そういう意味では、今おっしゃられ時間・距離につきましては、おっしゃるとおりだというふうに思っております。そういう中でもなんとか二次医療圏の中で、特に小浜地域、若狭・敦賀の地域をターゲットにして小浜病院のところで救急医療をさせていただいている状況です。これに対して、さらに1時間近く、もしくは1時間を超えて救急搬送に時間がかかっている地域があるというのは、現実の課題であるというふうに認識しております。
 そういう観点から、一昨年の9月に京滋ドクターヘリ、また来年の6月を目途に県の主催するドクターヘリを就航させる。通常の救急車の場合と、ドクターヘリの大きな違いは、病院に入っていただくまでの時間というのもありますけれども、お医者さんが乗っておりますので、最初の着いた段階から治療が始められるところに大きなメリットがあります。例えば北の方からも京滋の方からも来られる、一義的に治療が始められるというのは、救急車の移動に比べてもメリットが大きいと思っており、まずはこのドクターヘリを活用しながら少しでも敦賀地域、または若狭地域の安全・安心な生活を、少しでも守って参りたいと考えます。

【所感】
ドクターヘリは確かに有効なのだと思います。ただし、その運用については大変未知数の部分があるのも事実です。今後の仕組みづくりの中で、その部分をしっかりと精査していきたいと考えます。

2 市立敦賀病院にミニ救命救急センターの機能を持たせるとともに、医師を常勤配置すべきと考えるが、今後の対応について所見を伺う。

健康福祉部長
 まず一般論の経緯で申し上げますと救命救急センターは、本来人口100万人に1か所というふうに定められており、国が整備基準を示し、センターまでのアクセスに60分以上を要する地域では別に整備できるというふうになっております。
これをうけ、本県では県立病院のほか、公立小浜病院に救命救急センターを配置することで、県内すべての地域で60分以内のアクセスを確保した、これが経緯です。実際に嶺南の中で市立敦賀病院にミニ救急センターを置くことが困難でございますけれども、例えば症例によりまして、脳卒中とか心筋梗塞とかを発症した場合は、地元の医療機関で、早期に適切な治療を開始するということが一番大切ですので、来年度当初予算において、敦賀病院など嶺南地域の中核病院において急性期医療を完結できるよう、機能強化に向けた施設整備等の補助制度を新たに設けさせていただいています。
さらに、初期治療を迅速に行えるように、敦賀病院の救急科の医師を配置できないかということをいろいろ工夫を重ねておりますので、なんとか配置にこぎつけたいというふうに思っています。

【所感】
 100万人に1ヶ所、60分以内のアクセスという規定の絶対性については、大変疑問の残るところです。嶺南の地理的な特異性と道路状況は想像以上に厳しいものがあるのも事実です。その中で求められるのは、市立敦賀病院の救急機能の強化であることを再確認させていただきました。専従の医師を確保することが不可欠であることに対しては、前向きな答弁を頂いたものと考え、今後、しっかりと見守っていきたいと考えます。
また、今回は、救命救急に特化して伺いましたけれども、いずれにしても医師の偏在指標において福井坂井医療圏は全国335の2次医療圏の中で第34位、多数区域です。それ以外の3つの医療圏は200位から300位という少数区域、この現状はあまりにも大きな格差であるのは間違いないと思います。ただ、福井坂井医療圏にしても福井と坂井に分けて指標をみたときにどのような指標になるのか、また、嶺南というくくりではなくて二州と若狭という区切りで考えるとどうなるのか、後日、独自調査をいただき、6つに分けた場合の数値を示していただくことを要望しました。


2つめは、敦賀港の整備をとり上げました。

 物流面で、誰もが「敦賀港は日本海側の重要な港である。」と言います。ならば、それにふさわしい港として整備することが大切です。ここでは、資料としては、川崎岸壁の路面や倉庫の写真を準備しました。写真のもつ説得力は大きなものです。県が運営主体であるだけに、責任をもった整備を早急に行っていただきたい。2022年は、その意味で大きな節目なのだとも思います。また、BCPの点からも、あらゆる面から検討すべきです。クレーンの整備と増設は何としても実現していただきたいと期待しています。

1 川崎岸壁周辺の倉庫、路面、ビット(係留施設)等の現状に対する認識と今後の整備計画について、所見を伺う。

土木部長
 川崎岸壁周辺の県が所有しております倉庫につきましては、利用に支障が生じないように、当面は老朽化が進んだ箇所を修繕するとともに、長期的な方針につきましては、利用者の意見も聞きながら検討してまいりたいと考えています。
コンテナヤードの路面につきましては、現地調査や利用者の意見に基づいて、必要に応じて修繕を行っていくということにしています。
また、係留施設等については、国際フェリー船等の航路誘致を進める中で、船種や接岸方法に応じた整備を行うとともに、クルーズ船への対応についても今後検討を進めたいと考えています。
また、鞠山北の県所有のクレーンについては、設置から28年が経過しているということで、製造元による精密点検を行い、これに基づいたしっかりとした維持管理を行っていくということにしています。今後につきましては、利用状況やそのニーズ等を踏まえて、将来に向けた更新でありますとか増設等について検討してまいりたいと考えております。 

【所感】
 敦賀港が、「国際港」「福井県のゲートウェイ」「日本海側の貴重な貿易港」として、ふさわしい港として整備されていくことが大切であり、そのための投資は本県にとっても、将来を見据えた我が国にとっても、最も重要な鍵であることを意識して、今後の港湾計画を策定していただきたいと考えるとともに、すぐに着手できるものに対して早急に着手いただくことを求めます。
 国際物流ターミナルが整備される2022に向けて、実行すべき事柄は少なくありません。
一つの目途として大変重要な節目でもあります。そのために行動すること、具体的な整備を進めることを今後も訴えていきたいと思います。


3つめは、金ヶ崎周辺整備です。

「金ヶ崎周辺施設整備計画」というものが策定されたのは、平成30年です。JR貨物のコンテナの代替地、そして駅から港までの線路敷地の入手もフリーズ状態です。その状態の中、年月だけが過ぎていく状況は、市民として大変不安と疑念を感じます。

1 金ヶ崎周辺における鉄道遺産の保存・活用に関して、どのような方向性を持っているのか、知事の所見を伺う。

知事答弁
 私も何度も行っておりますけれども、素晴らしくいい場所、とても雰囲気のあるところだと思いました。なおかつ、なんといっても歴史がある。本当に大切にしていく、さらには福井県の観光の一つの大きな核にしていかなければいけない場所だというふうに認識をしております。そういう意味で、鉄道をあそこで活用するということが出てきて、色んな絵が描かれたのだろうと思いますが、一つ、正直申し上げて、私はその絵を描くのであれば、なんでJR貨物の廃線を認めたのか、と。私は最近も行って、ここのところで何とかして鉄道を活用して、ものを進めようと思っていたし、今でも全く諦めているわけではないのですけれども、廃線にしてしまった結果、あそこでもう一回線路を引こうと思いますと、法律的には高架にして鉄道を復活させなければならない、それはあまり意味がないというか、元に戻らない状況にすでになっているわけです。そういう意味では、鉄道敷を買ったからといって、線路が敷設出来て、踏切が復活できるわけではない、こういう状況にすでになってしまっている。そういう中で、あそこの使い道を、今申し上げた歴史的な流れとかストーリー、鉄道があったという事実、それからあの景観、これを活かす方法を、ぜひ私どもも入って、よく相談をさせていただきたいと思います。
鉄道があったこと、それから景観、鉄道敷が残っている、こういうものを活かして、今最大出来る、やみくもにお金をかけて何でもいいから鉄道を再開するのがいいのかどうか、これは否定はしませんけれども、よくこれから敦賀市、それから関係者の皆様方と議論をさせていただいて、一つの大きな目玉のスポットにできるように考えていきたいと思っております。 

2 金ヶ崎周辺施設整備基本計画における市と県の役割分担を伺うとともに、現在の進捗状況と現時点での整備スキームはどのように設定されているのか、また、鉄道遺産として保管されている転車台について、今後どのように活用していくのか、伺う。

地域戦略部長
 平成30年度に敦賀市において策定されましたこの計画でございます。ご説明にありました通り、転車台、SLなどの鉄道遺産の活用に関する整備が書いてあるわけでございますが、この具体化については、敦賀市と県が協議・検討を行っていくというような表現で書かれているわけでございます。計画に沿いまして、課題につきましては敦賀市とも認識を共有しているということでございます。こうした課題の解決に向けまして、金ヶ崎周辺の歴史遺産、それと新ムゼウムを敦賀市が整備されてございますが、その前に誘致を考えている民間資本による飲食・物販施設、こういったものも今計画が進められているわけでございます。先ほど知事が申し上げたような観点も含めて、全体のバランスを考慮しながら、相乗効果が上がるような転車台の活用方法を、今現在お示ししている計画にこだわらずに検討していきたいと考えてございます。  

知事
 実際にはお金もかかると思いますけれども、市との間でやり取りするのと、あと、民間事業者をあそこのところに配置する、というのも私は正しいと思います。これから前向きにやっていこうと思っておりますけれども、ちょっと時期までは申し上げるのは難しい。ただ、新幹線の今回の開業までに間に合わせるというのは難しいかもしれない、というところです。

【所感】
 当然、予算面での確保は大きな問題であります。当然イニシャルコスト、ランニングコストの試算があり、その市と県の分担も設定されていかなければなりません。
いずれにしても、先ほども述べたように、金ヶ崎周辺整備は、敦賀の観光や人の流れを左右する大変重要なものであり、2023年の新幹線開業を睨んだものであるのは間違いありません。早急に、明確な方向性を示し、具体的な行動をとっていくことを強く要望します。そして、敦賀市民とともにしっかりと見つめていきたいと思います。


4つ目の質問は、「教育の公平性」という点です。
 その中で、今回は、「図書費」と「ALT配置」をとり上げました。
今回の議会に示された県の長期ビジョン、教育振興基本計画、子どもの読書活動推進計画の中で、随所に「読書」そして、「図書館」という文言が登場してきます。国からは、学級数に応じて、標準額が財政措置されています。しかし、交付税としての措置されているために、その活用はそれぞれの市町に委ねられています。つまり、それぞれの市町の意識がその予算化に直結しているわけです。その図書費は、それぞれの市町でどのように活用されているのでしょうか。ここでも資料を提示させていただきました。その図書費について県教職員組合が独自に聴取したものです。この執行率を比べても、市町によって大きな差があることが明らかです。この状態の中で、どれだけ県が「読書」を呼びかけたとしても、成果は限定的なものになってしまうように思います。

1 市町における学校図書館の図書費の状況をどう分析・判断しているのか、図書標準を満たしていないにもかかわらず、予算化されていない市町に対し、どのような手立てを取るのか、伺う。

教育長
 市町によりましては、学校の統廃合問題を抱えている市町もあります。また、財政状況も悪いところもありますが、できるだけ100%に近づくように指導してまいりたいと考えています。

2 小学校へのALT配置の実態について、どのように分析・判断し、県として対応を考えていくのか、伺う。

教育長
 小中学校のALTにつきましては、全国的に市町村が雇用しておりまして、県が雇用して全中学校へALT配置を行っているのは本県のみでございます。小学校のALTにつきましては、市町が実情に応じまして、国のALT招致事業、JETプログラムを活用して雇用したり、民間業者と委託・派遣契約をするなどしております。

【所見】 
 子どもたちは、教育を受ける場所を選べません。ならば、各市町の状況を俯瞰し、足らないところに手を差し伸べなければなりません。「市町の責任だから」で済ますことはできません。「だから、どうしようもない。」ではなく、「だから、こうするんだ。」という姿勢が求められます。
県がどんなに素晴らしい施策をたてたとしても、それが形になっていかなくては意味がありません。大切なのは全ての子どもたちに公平な教育提供は欠かすことのできない県の使命だと考えますし、何よりも必要なのは、県の考える教育施策の背景にある思いをしっかりと市町に伝え、バックアップしていく姿勢を伝えることのように思います。