第九に

雑感

 毎年、この時期になると、いろいろなところでプロ・アマを問わず、「ベートーベン第九演奏会」が開催される。クラシック音楽の歴史を変えた革命であるとも言われる大曲、もちろん第四楽章にはシラーの詩をもとにした「歓喜に寄す」の合唱が控えている。全楽章で70分余、まさにスケールの大きさでは群を抜いている。(CDの収録時間が74分なのは、第九が全曲収まるように決められたことは有名である。)
 ステージ上に、80名規模のフルオーケストラ、4名のソリスト、何よりも100名を超える合唱団が並ぶ様は、まさに圧巻である。
 第九の演奏会を市民レベルで開催することは、その街の文化レベルのバロメーターであるとも捉えられている。というのも、まず100名の合唱団員が構成できなければならない。しかも、ドイツ語で歌う以上10数回の練習に参加する意欲と熱さを持っていなくてはならない。また、練習の指導をする合唱指揮とパートリーダー、練習時のピアニスト5、6名といった人的な確保がなされなければならない。
 マネージメントの面でも規模は大きい。オーケストラと指揮者、4名のソリストのギャラ、移動費用や宿泊費、プログラム・チケット・ポスターを含めた印刷関係の費用等の総額は 700~800万円近くになる。いざとなったらそれを支える行政の理解と覚悟も求められる。
 何度か運営に携わり、それを知っているだけに、各地で開催される市民レベルの第九演奏会には敬意を払っている。
    (私の一番好きな一節・・・それは緊張感のあるpではじまる・・・)
Ihr stürzt nieder, Millionen?
Ahnest du den Schöpfer, Welt?
Such’ ihn überm Sternenzelt!
Über Sternen muß er wohnen.
ひれ伏しているか? いく百万の人々よ。 創造主を感じているか? 世界よ。星空のかなたに、主を求めよ。星々のかなたに必ず主は住み給う。
 第九シンフォニーは、そんな俗な苦労は気にも留めず悠々と流れ、苦労以上のものを残してくれるのは間違いない。今年は、じっくりと聴く機会をつくりたいものである。