2013年9月24日
生きる糧
9月11日、「伝説の教師」と呼ばれた橋本武氏が101歳の生涯を閉じた。その氏名よりも、灘校(灘中・灘高)での「スローリーディング授業」といった方がなじみがあるのかもしれない。正解を求めず、考えることを楽しもうと、中勘助の『銀の匙(さじ)』という一冊の文庫本とプリントのみで授業を進め、文章の語句からヒントを出し、連鎖的にさまざまな語句を学ばせ、自ら掘り下げて学ぶことの大切さを教えた。
「遊ぶように学ぶ」「当たり前だと思われていることに疑問を抱く」を貫いた授業。橋本氏はき、そのポリシーを「わたしが読書を中心に据えた授業をしようと考えた理由は、何とか生徒の心に生涯残って、生きる糧となる授業がしたいという大きな願いがあったから。」と述べている。
「生きる糧」となる授業・・・信念をもって自らの伝えたいものにこだわり続けた生き方から、学ぶものは大きい。「教育とは、学校で習ったすべてのことを忘れてしまった後に、自分の中に残るものをいう アルベルト アインシュタイン 」という言葉が、思い出される。