あたりまえ  平成23年度、始業式に

子どもたちへ

 「あたりまえ」には、二つの見方があるように思います。それは、「自らが行うことのあたりまえ」と「自分が受けるあたりまえ」です。
 まず、「自らが行うことのあたりまえ」を見直そうということですが、それは自分の中であたりまえに行うことがいつのまにか「してやっている」といった傲慢な思いに変わっていはいないだろうかということです。学校生活の中でいうならば、「学校のルール」や「清掃」「授業や学習」そして「みんなに迷惑をかけない生活」といった「してあたりまえのこと」「できてあたりまえのこと」の中に、いつのまにか「してやっている」という思いになっていることはないか私たちも含めてみんなで見直していきたいと思います。
 しかし、今日、みなさんに訴えたいのは、もう一方の「今、自分が受けているあたりまえ」についてです。夜温かな布団につつまれて落ち着いた中で眠る。朝になったら朝食を摂り、いろんな温かな眼に送られて学校に登校する。いつのまにかわたしたちにとっては「あたりまえのもの」となってしまっています。でも、3月11日以降、それらがけっしてあたりまえのものではないということを思い知らされています。私たちは幸せな世界に暮らします。私たちがしなければならないことは何なのか。 その答えは今は出ません。
 はっきりしているのは「私たちは真剣に生きなければならない。」ということです。
大切なのは精一杯生きること。自分だけのことしか考えられない生き方、その場だけの愉快さだけを求めて生きることはできない。ということなのだと思います。
 さあ、新しい年度のスタートです。今までの自分を見つめ直して、新しい自分に、真剣な自分に出逢いましょう。
 皆さんの真剣な姿にたくさん出会えることを楽しみにしています。
さて、保護者の皆さま、今日という日を迎えられ、制服に身を包んだお子さんの姿に、胸が一杯のことと思います。皆さまもまた、お子様のこれからの中学生活に少なからぬ不安を感じておられることと思います。でも、この会場にいる全ての者が「この子たちが、よりよき人に育ってほしい」という共通する願いをもっています。その意味では、この会場にいる全ての者が同志です。我々が手を取り合えば、その「夢」は必ず実現できると確信しています。
 私たちにとって、今日は新入生の子どもたちとの出会いの日であると同時に、保護者の皆様との出会いの日でもあります。初めて本校にお子様を送り出す方も少なくはないはずです。子どもたちを通して、みなさんとたくさんの感動を共有できることを楽しみにしています。
 大切なお子様を、本日より、全職員が心を一つにしてお預かりいたします。
どうか、本校の教育活動に深いご理解と力強いご支援、ご協力を賜りますよう、お願いいたしまして、式辞といたします。