2 西町の綱引きについて

私の考え

平成28年 12月議会一般質問報告

今回の議会では、①教育委員会の説明責任について ②西町綱引きについて ③国体への対応について という3点での質問でした、それらの質問内容についての報告をさせていただきます。
その2

2 西町の綱引きについて

 まず、市長の考えを確認させていただきました。そして、ここに至ってしまった問題点を探り、その上で、最も大切である「これからの方向性」を確認させていただこうと考えて臨みました。

 教育振興基本計画の中にも、「現在市に存在する文化財は国・県・市指定を合わせて190件である。」として、一覧表が掲載されています。また、以前も述べさせていただいたように、本市の教育大綱には「有形無形の歴史文化財を確実に保護し、学校教育や観光等にこれらを生かすことによって、市民が誇りを持てる文化の振興を図ります。」とあります。

 その一つである、国の重要無形民俗文化財としての「綱引き」の価値を市長も十分に把握し、今年度、平成29年1月の綱引きが実施されないことに対して、市長も残念な思いを持っておられることを確認させていただきました。

  1.  この残念な結果に至った問題点はどこにあるのでしょう。これまで、いろいろお話を伺う中で感じたのは、地域の方は、毎年毎年、苦しい選択の中で、ぎりぎりの状態の中で開催してきた行事であるという現実です。抱えている課題はたくさんあります。資金面の問題や綱引き開催運営だけではなく、当日の安全確保、それまでの準備への人力、保険の問題、数多くの課題を抱えているのを感じます。特に、以前は40数軒が軒を連ねていた西町も今は15・6軒となり、これまで先頭に立って進めてきた方たちも高齢となってきたという人的な部分は大きな問題です。

     これまでに、願いを教育委員会や行政当局が直接把握し、苦しさを共有する努力はなされてきたのでしょうか。その点を伺いました。文化課長は担当職員とともに、何度か保存会関係者や会長と直接お話しされていますが、ポイントとなるのは、9月に保存会から再送付された文書です。その中では、「明確に、H29年以降の綱引きは行わない。」とあります。その文書が再送付されたいきさつはいろいろあるのですが、その時点でことの重大さを認識したのであれば、所管する教育委員会や市当局のトップレベルの方がアクションを起こすべきだったのだと感じます。しかし、その時点でのアクションや指示はほとんどなかったことを知り、大変残念な思いがします。何より、9月議会で、「できれば続けていただきたいという気持ちはございますが、その気持ちは尊重しなくてはいけないのかなと思っています。また来年度以降、もし復活される気持ちになられたときには、十分に協議してまいりたいと思います。」と答弁されている訳ですが、その時点で、地元の意思を正確に把握し、その重要性を認識した上での答弁だったのか大変疑問です。その点を問いましたが、市長からの答弁はいただけず、残念な思いが残りました。

  2.  問題は、平成30年1月以降の開催についてです。
    「地元がやれるなら応援するが、やれないとするなら仕方がない」という考えは短絡的で大変問題であると考えます。このことの大きさを市全体の問題として、市民全員で共有することが大切なのです。西町のみなさんは自分たちの力では実施ができなくなったものの、大事にしてきた綱引を存続させるためには、全面的に協力してくれることと思います。

     「保存会は解散していないだけに、確実に継承していく方策がないか保存会等と協議の場を持っていきたい。」とのことですが、「解散していないから…」という言葉には、やや甘さと、地域の思いと乖離したものを感じてしまうのは、私だけではないと思います。

     文科省と県と市、そして保存会のまさに綱引きなのかもしれません。いずれにしても、『保存会』が大きな鍵となります。当然、文化財指定との関わりもある訳ですから、慎重な対応が求められていくのは間違いありません。

     今回この問題を取り上げさせていただいたのは、この問題の大きさを多くの方に知ってもらいたいという思いからです。問題意識を持っている市民の方も少なくないことと思います。もし、そのような市民や団体の中から、保存会を精一杯支援したいという声が上がったならば、市としても、精一杯のパックアップをお願いしたいと考えます。最後の市長所見では、「保存会を助けていきたいという方はいらっしゃると思う。表面化での協力は大切である。綱引きは、単なるイベントではなく、400年の歴史を持つ文化財であり、後世に伝えていかなくてはならないものであり、持続可能な形に向け協力していきたいと考えている。私も再開を望んでいる一人である。」との言葉を受け取りました。

     その言葉を具現化するために、教育委員会だけでなく、観光協会をはじめ、全庁の英知を結集していく必要を感じます。