支える言葉

思い

 誰にも『自分を支える言葉』というものがあります。そのことばが、くじけそうになったとき、迷ってどうしようもないときに背中を押してくれたという経験が、私のような歳になると幾度かあるものです。
 その中のひとつを紹介しておきたいと思います。

この中にも吹奏楽部の人や、ピアノやギターといった楽器を習っている人もたくさんいることと思います。
私も、音楽が好きで、中でもオーボエという楽器が好きで、大学時代には先生について習っていたことがありました。オーボエという楽器、オーケストラの音色を決めるといわれる程に音色が大切な楽器なのですが・・・・

 毎日が、ロングトーンとスケールの連続、大学生活の自由な時間の大半は、そんな練習に費やしました。自分では一所懸命、単調な練習を何ヶ月やってもなかなか自分の求めている音色が出ない。
 そんなある日、しびれを切らして先生に尋ねました。
「どうして、先生のような音色が出せないのですか? 私には能力が無いのですか?」と
すると、先生はこう返されました。
「いい音を出そうと思って、すぐに出せるほど世の中甘くないよ。やろうと思っても、結果的にやれるかどうかなんてわからないものなんだ。でも、一つだけ確かなことがある。それは、どんなにことでも、たとえそれがどんなに簡単に思われることでも、やろうとしなかったら、絶対にできないということだよ。」
「やろうとしなければ、絶対にできない。」この言葉が、私を支える言葉となって残りました。
 人はいろいろなところで迷い、壁にぶつかるものです。そういうものなのです。でも、そのときに、先を見通したつもりになって「どうせダメだから」と、避けていくか、それとも、「とにかく、やってみようと一歩踏み出すか」、それによって、その人の価値は決まってくるのだと思うのです。
 さあ、新しい年、君たちにとって、私たちにとって「進むべき道に、一歩踏み出す年になることを期待し、応援しています。」