「悲しみ」というエネルギー 全校集会 講話

思い

今日は、「悲しみ」ということについて話したいと思います。
「やなせたかし」
という名前は耳にしたことがあるでしょう。漫画家で、「アンパンマン」や「アンパンマンマーチ」の作者といった方が早いかもしれません。
 彼の作詞した中に、もうひとつ有名な曲があります。
 皆さんは「手のひらを太陽に」という曲を知っているだろうし、歌ったことものあるはずです。あの曲も「やなせたかし」さんの作詞なのです。
 あの曲の中で、「ぼくらはみんな生きている。生きているから・・・・」語りかけています。そして「生きているから・・・・・・」と続きます。この次にどんな言葉が登場しますか覚えているでしょうか?

 最初に登場してくるのは「生きているから、悲しいんだ」なのです。誰もが子ども向けの歌だから「生きているから嬉しいんだ」と、希望や夢が最初に登場してくるはずだと考えるのに、最初に登場してくるのは「いきているから悲しいんだ」・・・・・・不思議な気がしますが、「悲しみ」がなければ、「喜び」は分からない。ここに作詞者の思いがあるのでしょう。皆さんにも、是非考えてみてください。

 私も同じようなことを思います。「悲しい、苦しいというのは、生きていく上での大きなエネルギー」なのです。「悲しい」というのは、心が凝縮された状態です。そこには実に多くのエネルギーが秘められているのです。
 そこにある、はち切れるほどに高まったエネルギーは「喜び」に向かおうとするのです。
 だから、変にごまかすことなく、思いっきり苦しみなさい。悩みなさい。
 ただし、いつも隣には、「喜び」や「希望」が寄り添っていることを忘れないでください。

 最後に
「アンパンマンマーチ」の歌詞
「なんのために生まれて、なにをして生きるのか こたえられないなんてそんなのはいやだ!」とあります。
明日からの冬休み、多くの時間が君たちに委ねられます。
 3年生諸君はもちろん、一人一人が、自分としっかり向き合い、しっかりとした自分を持った生活を送ってくれることを願っています。
 そして「なんのために生まれて、なにをして生きるのか」という問いに少しでも近づく冬休みになることを期待しています。