『ひとさまには』

教育

 「ひとさまには迷惑かけたらあかんよ。」・・・幼い頃、祖父母や両親のこの言葉を耳にしたことのある方も多いことと思います。
 「ひとさまには」(漢字で書くと「他人様には」となるようですが)という言葉の裏には、「家族ならば、いいことも悪いことも享受して、家族みんなで支え合っていくんだ。」という決意や、「それができるのが家族なんだよ。」という強い覚悟を感じることができます。
 今、社会全体の中に「自分」や「個」の利益が優先され、それを得るためならば、「他」が受ける不利益や迷惑は二の次といった姿が見てとれるのが残念でなりません。しかも、その優先している利益そのものがちっぽけなものになりつつあるのも感じます。「他」を意識する文化が、随分と見えなくなりつつあるといってもいいのかもしれません。決して「他」を意識することがいいことばかりではないのは分かっていますが、「自分の家族や身内の問題は自分たちで精一杯解決していこう。」「ひとさまには、迷惑をかけることは絶対に許されないんだ。」という意識を、私たち大人が子どもたちに、はっきりと伝えていかなければなりません。