2009年12月

人権について伝えたいこと

子どもたちへ

 人はいろいろな社会の中で、人との関わりを持って生きています。その中で、自由に、のびのびと生きていく権利を持っています。
 だから、全ての人が存在を認められ、お互いにあたたかく受け入れられる社会でありたいと思います。
 一部の者だけが、好き放題のことをして120%の満足を手に入れ、その裏で、周囲の者から自由を奪われ、つらい思いをする人が存在するような社会であってはならないと思います。ましてや、友達という名の下に人を自分の持ち物のように扱い、その存在すら認めないような社会であってはならないと思うのです。
私たちにできることは何なのでしょう。まずできること。それは、自分の権利を守ることです。自分を大切にすることなのです。自分自身の尊厳を大切にできない人は、他の人の尊厳に気づかないのではないでしょうか?
自分が周囲から受けている不合理に気づかない人や、気づきながらも自分の中でそれを押し殺し、自分をなんとなくごまかしている人は、いつかその逆の立場に立ってしまうのではないでしょうか?
そんな不合理に屈する集団でありたくはありません。
今はそんな強さを身につけていなかったとしても、自分でごまかしてしまうことは止めましょう。
生活の中で、「どうして私だけが…………」って感じたことはありませんか?
 一歩進んで、自分の周りに目を向けてみましょう。周りにつらい思いをしている人はいませんか?
さらに一歩進んで、ひょっとしたら自分がいつの間にか、友達を傷つけていたのでは……なんてことはありませんか?
 さらにさらに一歩進んで、傍観者の罪を背負ってはいないでしょうか?
 他の学級や他の学年のこと。先輩とのことだって、部活動の中でのことだって構いません。とにかく「こんなこと おかしいのでは?」「私はこんなにつらいのに…… 何とかしてほしい」と考える時間、訴える時間を持ってください。
 「こんなこと言ったら後でまた…」なんて心配することはありません。皆さんの周りには、君たちを何よりも大切に思っている人が何人もいます。家族のみんなもその一人です。先生方もその一人です。そして、私もその一人です。
精一杯支え、応援します。

地域のつながり

雑感

 11月14日(土)に後期生徒会執行部と委員長の有志23名が、敦賀西町(現 相生町)の恒例行事の準備に参加しました。それは、毎年1月の第3日曜日に西町で行われる、敦賀の伝統行事で国の重要無形民族文化財の「夷子大黒の綱引き」の太綱づくりの下準備です。20数名の地区の方に混じっての作業でしたが、昔の学校のことや、部活のことなどいろんな会話をしながら、そして分からないところは教えていただきながらの作業でした。
 そんな様子を見ていて、昔の地域のつながりはこんな風に伝統行事や地域の行事の準備への参加を通して強いものになったのだろうと感じました。
 一堂に会して作業しながら、家族のことや地域の情報を共有したり意見交換したり、若手が段取りの教えを請うことを通して、年長者を敬う姿勢が自然に育まれていったのでしょう。伝統を守ることの大切さとともに、「子どもたちを地域で育てる」ことの大切さを感じ、まさに地域コミュニティの本来の姿を見ることができた貴重な体験でした。

マスクの中で

雑感

 先日、福井県のインフルエンザの罹患率が全国的にみても高いものであることが報告されたのは記憶に新しいところです。例年ならばこれからが季節性インフルエンザ拡大の時期であることや、強毒性のものが登場することが十分に懸念されることを考えると、さらに予防体制を強化していく必要を感じます。
 その予防のためのマスクの着用も定着してきた感があります。今、給食以外はずっとマスクをしている生徒も少なくありません。11月中に各小学校で学習発表やいろいろなフェスティバルが開催されました。ある小学校のフェティバルを訪問したときに感じたことです。3年生の学級のブースに呼び込まれました。たった一人の聴衆を前に、海について自分たちの調べたことをとても分かりやすく、一生懸命に説明してくれました。でも聴きながら、この子たちの発見した嬉しさや驚きが伝わってこないのです。言葉では「楽しかった」「おもしろかった」をアピールするのですが、どことなくフィルターがかかった状態で、なんとなく違和感を感じていたときです。それまでマスクをしていた女の子でしたが、少し話しづらかったのでしょう。途中でマスクをあごの下に下げたのです。そこから出てきたのはニッコニコの笑顔でした。今まで表に出なかった、調べ学習の楽しさや感動が顔全体からあふれていました。そのとき改めて「楽しさや哀しさを言葉以上に口元や顔の表情で伝えているんだ。」ということを感じました。
 マスクをすることでコミュニケーションがとてもとりづらくなっているのは間違いありません。しかも、自分の表情が伝えられないということで、自分の存在が透明感のあるものになっているのも感じます。子どもたちがそんな状態を長く続けることが予想もしない問題を生み出したりしないだろうかと不安にもなります。
 今はマスクは避けられません。でも、一日も早く、マスクをはずし、自然なコミュニケーションがとれる日が来ることを願っています。